【4月1日 AFP】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死亡リスクや重症疾患の発症リスクは、高齢者だけでなく中年層でも高いとする英国の最新研究が3月31日、発表された。

 この研究結果は中国本土の新型コロナウイルス症例に関する最新の包括的分析に基づくものだ。

 英国の研究チームは、COVID-19と確認された症例3600件以上と、流行発生地の中国・武漢(Wuhan)から本国に送還された数百人のデータを分析した。

 分析の結果、感染症が重症化する主な決定要因に「年齢」が関係していることが分かった。入院が必要となる感染者の割合(入院率)は、30歳未満で約1%だったが、80歳以上では20%近くに上った。

 データではまた、軽症や無症状の感染など臨床的に確認されていないと考えられる症例の推定数を考慮した場合、50代感染者では、入院率8.2%、致死率0.6%となることが示されていた。

 医学誌「ランセット感染症ジャーナル(Lancet Infectious Diseases)」に掲載された論文では、中国本土で確認されたCOVID-19症例の致死率を1.38%と推定している。ただ、未確認の感染例を考慮すると、致死率は0.66%に下がったという。

 この値は以前の推定値よりも著しく低くなっているが、それでもCOVID-19は新型インフルエンザA型(H1N1)などの過去のパンデミック(世界的な大流行)ウイルスに比べて致死率が数倍高いと、論文の執筆者らは指摘している。

 論文の共同執筆者で、英インペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)のアズラ・ガニ(Azra Ghani)氏は、「この推定値は、COVID-19を封じ込めるための最善策を講じる上で有用となる。どの国にも適用できる」と説明する。

「多くのメディアから注目される異常な症例はあるかもしれないが、50歳以上では50歳未満に比べて入院患者発生率がはるかに高く、死亡リスクの高い症例の割合も大きいことを、今回の分析は非常に明確に示している」(c)AFP/Patrick GALEY