■「怒りと驚き」

 仏北部の看護師トマ・ドゥモンショー(Thomas Demonchaux)さんは、一部の隣人から疑いのまなざしを向けられていることに気付いた。隣人らは、ドゥモンショーさんとの間に間隔を空けるべきか思案しているようだったという。

「彼らは私が新型コロナウイルス感染症患者と接触したか、ウイルス検査をしたか、疲れているかなどと尋ねた」

 パリの看護師ヌジュット・バンサイド(Negete Bensaid)さんは、感染を恐れる一部の患者から往診を拒否された。家族からも、仕事を辞めるよう言われている。

「私が来るのが見えると、彼らは間隔を空ける。1メートルどころか4メートルも!」とバンサイドさんは話した。

 往診を行う看護師らは、マスクや手指消毒剤を狙った盗難の被害にも遭っている。

 仏西部沿岸ラロシェル(La Rochelle)では先週、看護の仕事中だったクレールさんが、受け取ったばかりの外科用マスク約30枚を盗まれた。

「ひどく腹が立った。でも同時に驚きもした。現実とは思えなかった」

 クレールさんはそれ以来、看護師バッジを外し、車内には何も置いて行かないようにしている。「患者を守るためにマスクを着け、手を洗うのと同じように、それが日課になった」という。

 また、マルセイユ(Marseille)の看護師ソフィーさんにも「信じられない」ことが起きた。自分の車が盗難に遭い、バッジやマスク、防護用品が盗まれたのだ。

「しまいには襲われてしまう」とソフィーさんは不安を募らせる。自分の子どもを買い物に行かせるとウイルスに感染するかもしれないと、食品の買い出しまで頼んでくる患者もいるという。

「敬意を欠いているように思える。だから、夜拍手を聞きに外へ出るのもやめた」とソフィーさんは話した。(c)AFP/Emmanuel DUPARCQ, Romain FONSEGRIVES et Nicolas KIENAST