■次世代を触発

 1960年代前半にLAPANの設立とともに野心的な宇宙開発を開始したインドネシアは、国内用通信衛星の製造・打ち上げを米国に依頼し実施した最初の発展途上国の一つだ。

 LAPANはNASAと共同で宇宙飛行士を宇宙空間に送り込む計画を立てていたが、1986年に起きたスペースシャトル・チャレンジャー(Challenger)号の爆発事故を受け、この計画は見送られた。その他の機会もあったが、一つも実現していない。

 LAPANは現在、ロシアの国営宇宙企業ロスコスモス(Roscosmos)と将来のミッションに宇宙飛行士の一人を派遣することについて話し合いを進めている。しかし、これまでのところ具体的な詳細はほとんど明らかになっていない。

 インドネシアは長年にわたり、特に米国、ドイツ、日本、ウクライナなど世界各国の宇宙機関と技術面で協力してきた。2015年には、自然災害を軽減するための研究に利用されるインドネシア国産の人工衛星2基が、インドによって地球周回軌道に打ち上げられた。

 だが、インフラの欠如はいまだに深刻な問題だ。

 インドネシアは2019年11月、同国初の宇宙基地をパプア州沖に建設する計画をついに承認した。国内の既存の打ち上げ場は規模が小さすぎる上、人口密集地域にあるため、大型ロケットを打ち上げるには危険が大きすぎることを、同国は認めている。

 米宇宙業界コンサルティング会社「ブライス・スペース・アンド・テクノロジー(Bryce Space and Technology)」のフィル・スミス(Phil Smith)氏は「インドネシアの宇宙飛行士が、(同国の)宇宙開発の国際的な知名度を上げるかもしれない」と指摘する。

「それよりも、宇宙飛行士の派遣によってインドネシアの国民が触発されるという効果が大きいだろう」

 映像は2019年11月撮影。(c)AFP/Peter BRIEGER