【3月31日 AFP】米フロリダ州知事は30日、乗客4人が死亡し、新型コロナウイルスの船内感染が疑われるクルーズ船「ザーンダム(Zaandam)」の乗客を同州の港に下船させることを拒否する姿勢を示した。

 オランダのクルーズ船会社ホーランド・アメリカ・ライン(Holland America Line)が運航する同船は当初、4月初旬にフロリダ州フォートローダーデール(Fort Lauderdale)で航海を終える予定だった。しかしパナマ当局から一時、パナマ運河(Panama Canal)の通過を拒否され足止めされていた。最終的には許可を受け、前夜パナマ運河を通過したザーンダムは現在、乗客を下船させることのできる港を探している。

 米FOXニュース(Fox News)の取材を受けたフロリダ州のロン・デサンティス(Ron DeSantis)知事は、「われわれはこの件を非常に大きな問題だと捉えており、現時点でフロリダ州南部に乗客を置き去りにしないでほしいと思っている」「この件についてホワイトハウス(White House)と連絡を取っている」と語った。

 後にデサンティス知事は同船に医療関係者を派遣する方針を示し、船側と調整したいと報道陣に語った。さらに同知事は「ただし、乗客の多数は外国人だと思うが、まずはフロリダ南部の住民のための病床数を確保するということを明確にしておきたい」と述べた。

 ホーランド・アメリカ・ラインによると、パナマ運河を通過する前の段階で衛生措置としてザーンダムから乗客797人、乗員645人が別のクルーズ船「ロッテルダム(Rotterdam)」に移送された。現在ザーンダム船内に残っている乗客446人、乗員602人のうち、乗客73人、乗員116人がインフルエンザのような症状を訴えているという。船内に残る乗客は22日から自主隔離を行っている。 

 ザーンダムは今月14日、太平洋上を航行中に数十人が体調不良を訴え、以来中南米の複数の港で入港を拒否されてきた。(c)AFP/Leila MACOR