【3月31日 AFP】ドイツで、アディダス(Adidas)やH&Mといった世界的な大手ブランドが、新型コロナウイルスの感染拡大により店舗の休業を強いられたとして、賃貸料の支払いを中止する方針を表明した。これを受けて同国内では29日、批判が噴出した。

 オラフ・ショルツ(Olaf Scholz)財務相は、有名ブランド各社に対し、不動産所有者らに損害を与えることにつながる性急な行動は差し控えるよう強く要請した。

 大衆紙ビルト(Bild)の取材に対し「大企業が賃貸料の支払い中止をあっさり発表するのを聞いて、いい気はしない」と不快感をあらわにしたショルツ氏は、「今こそ力を合わせる時」であり、小売業者は物件所有者にまず相談して、解決策を模索すべきだと訴えた。

 これに先立ち政府は、新型ウイルスのパンデミック(世界的な大流行)による経済的打撃から企業や雇用を守るための大規模な救済措置を発表。

 この措置には、同ウイルス対策が原因で物件の借り手が経済的に困窮した場合、住民や事業所が退去を回避できるよう、一時的な保護規定も盛り込まれている。

 ただクリスティーネ・ランブレヒト(Christine Lambrecht)法務・消費者保護相は企業幹部らに対し、この救済措置につけ込まないよう警告。

 ランブレヒト氏は首都ベルリンで28日、「もし経営体力のある企業が今ここで賃貸料の支払いを中止したら、それは不適切であり、容認できない」とくぎを刺した。

 アディダスのカスパー・ローステッド(Kasper Rorsted)最高経営責任者(CEO)はこれに反論。主要日刊紙フランクフルター・アルゲマイネ(Frankfurter Allgemeine)に30日に掲載された記事でローステッド氏は、国内店舗の大半の物件を所有するのは「大手の不動産会社や保険会社」であり、賃貸料支払い凍結の決定にも「多くが理解を示した」と話している。

 一方で同氏は、個人家主に対しては賃貸料の支払いを続ける意向を示し、「4月分は通常通り支払われる」と述べた。(c)AFP/Michelle FITZPATRICK