【3月31日 Xinhua News】中国では新型コロナウイルス感染症の発生後、スマートロボットの運用が急ピッチで進んでいる。医療物資の配送や隔離施設での配膳、公共の場での自動検温や消毒など多岐にわたる。

 湖北省(Hubei)武漢市(Wuhan)や上海市の病院では、ロボットが消毒作業を担っている。患者に薬や食事を運ぶのもロボットの「仕事」。ドアの開閉やエレベーターへの搭乗もお手の物で、行き先を指定されたロボットは指示通りに病室や病床を回り、薬を患者の手元まで運ぶ。

 音声認識大手の科大訊飛(アイフライテック)が開発した医療助手ロボットは1分間に900本の電話をかけ、体調の確認や感染予防の呼び掛けを行う。劉慶峰(Liu Qingfeng)董事長は「わずか2カ月で全国の30の省や市、地区で運用され、延べ3700万人を電話訪問した」と語った。

 物流企業の間で特に関心の高い「無人配送戦略」も加速している。中国電子商取引(EC)大手の京東集団(JDドット・コム)やネット出前・生活サービス大手の美団点評などが物流ロボットを相次いで導入。京東集団が武漢で運用するスマート配送ワゴンは、ある指定病院で医療物資の配送作業の7割を担っている。

「中国ロボット産業発展報告2019」は、世界のロボット市場規模は拡大が続いており、特にサービスロボット市場は高成長期に入ったと指摘した。19年の市場規模は294億ドル(1ドル=約108円)で、うちサービスロボット市場は94億6千万ドル。中国でもサービスロボット市場は22億ドルに達し、市場全体の23%を占めるとの見通しを示した。

 中国工業・情報化部は17年12月に「次世代人工知能(AI)産業発展3カ年行動計画(2018~20年)」を発表。20年までに家庭用サービスロボットや公共用サービスロボットの量産や実用化を実現させるとの方針を示していた。

 業界関係者は、AIや第5世代移動通信システム(5G)、ビッグデータなどのさらなる発展に伴い、中国のサービスロボット市場も急成長が見込まれ、新型コロナの終息後、ロボット産業全体が高成長期を迎えると指摘。調査会社の前瞻産業研究院は、中国のサービスロボット市場規模は21年に40億ドル近くに達するとの見通しを示している。(c)Xinhua News/AFPBB News