【3月30日 Xinhua News】中国上海市の復旦大学(Fudan University)生命科学学院の研究チームがこのほどまとめた統計では、同市の60を超える居住区で野生のタヌキが出没していることが分かった。長江デルタ地区では江蘇省(Jiangsu)の南京(Nanjing)、蘇州(Suzhou)、無錫(Wuxi)各市や浙江省(Zhejiang)杭州市(Hangzhou)でも存在が確認されている。

 同学院の王放(Wang Fang)研究員は「タヌキはイヌ科の動物でネコやウサギより若干大きく、性格は比較的おとなしい。都市での活動や人との共存に適しているのかもしれない」と語る。

 王氏の研究チームは昨年から、100人近くの市民ボランティアと共に赤外線カメラ80台を用い都市で生活する野生動物の姿の観察を続けてきた。

 王氏のチームに所属する博士課程の学生によると、上海浜江森林公園に設置したカメラ10台のうち、9台にイタチ、7台にタヌキが繰り返し撮影されていたという。

 追跡調査では、市内の集合住宅のベランダの下や壁、貯蔵室、橋脚の隙間、都市ガス配管などにタヌキが巣を作っていることも分かった。

 王氏は、都市の生物多様性の監視や管理にゴールはなく、都市化のプロセスに視点を置き、動態的に対応策を調整する必要があるとの認識を示した上で「都市が人と野生動物の共通の生活の場となりつつあることに気が付かなければならない。野生の『隣人』を理解し、平和的に共存することは、素晴らしい都市生活のあるべき姿だ」と述べた。(c)Xinhua News/AFPBB News