【3月30日 AFP】オーストラリアは29日、新型コロナウイルスの感染拡大に関連し家庭内暴力(DV)の被害件数が急増しているとの支援団体からの報告を受けて、DV対策資金として1億5000万豪ドル(約100億円)を投入すると発表した。

 新型ウイルスの封じ込め策として全国規模で不必要なサービスが一時停止される中、スコット・モリソン(Scott Morrison)首相は、グーグル(Google)でのDV支援に関する検索件数は75%増加したと指摘した。

 豪で最も人口の多い州、ニューサウスウェールズ(New South Wales)州でDV支援を提供する慈善団体「ウィメンズ・セーフティ(Women's Safety)」によると、スタッフの40%超が相談者数の増加を目にし、相談件数の3分の1以上が新型ウイルスの流行に直接関係しているという。

 隣のビクトリア(Victoria)州で女性へのサポートを行う「Wayss」は、この1週間で警察からの支援要請件数は約2倍になり、「かつて経験したことのない」暴力の形態に対応したと述べた。Wayssのリズ・トーマス(Liz Thomas)最高経営責任者(CEO)によると、ウイルスを持っているとしてパートナーを家に閉じ込めたり、自主隔離しているパートナーのもとに人を連れて来て、その人が感染者であるなどと言って脅したりする事例があるという。

 モリソン首相は29日に明らかにした保健関連分野への追加支出11億豪ドル(約730億円)の一部として、1億5000万豪ドルをDV被害者・加害者向けの電話支援サービスに充てる方針を発表。首都キャンベラで報道陣に対し、「被害を受けやすい人やその可能性のある人への支援に、より多くの資金を投じる必要がある」と述べた。(c)AFP