【3月28日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は27日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた2兆ドル(約220兆円)の経済対策法案に署名し、同法は成立した。トランプ氏はまた、米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)に人工呼吸器を製造するよう命令した。

 与野党は1週間に及んだ攻防の末に同法案を支持し、法案は大統領が署名する数時間前に下院で可決されていた。経済対策では平均的な4人家族に最大3400ドル(約37万4000円)を給付する。

 トランプ氏は「民主党議員と共和党議員が協力し、米国を第一に考えてくれたことに感謝したい」と述べた。

 トランプ氏はまた、国防生産法(Defense Production Act)を発動し、人工呼吸器の迅速な製造をGMに命じた。人工呼吸器は新型コロナウイルス感染症の重症患者の生命維持に必要だが、不足している。

 命令に先立ち、トランプ氏は27日朝、ツイッター(Twitter)でGMと米自動車大手フォード・モーター(Ford Motor)に人工呼吸器の製造を急ぐよう要求していた。

 これを受けてGMは米医療機器メーカー、ベンテック・ライフ・システムズ(Ventec Life Systems)とインディアナ州にあるGMの工場で人工呼吸器を製造し、来月から出荷できる見通しだと発表したが、ホワイトハウス(White House)はこれに満足できなかったのか、その4時間後に民間企業に増産などを促すことを可能にする国防生産法を発動した。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)によると、ホワイトハウスは今週、GMとベンテック社の人工呼吸器製造について発表する予定だったが、10億ドル(約1100億円)とされる工場の機械の入れ替え費用の問題に突き当たり、発表できなかったという。

 GMは国防生産法発動後に「ベンテックとGM、われわれの供給業者はこの緊急の必要に応えるべく、この数週間不眠不休で作業している。ベンテックの高性能人工呼吸器『VOCSN』の製造に向けたわれわれの決意と努力が揺らぐことは決してなかった」とする声明を発表した。

 米国の感染者数は4万人を超え、ニューヨーク州では人工呼吸器の確保が喫緊の課題となっている。

 同州のアンドルー・クオモ(Andrew Cuomo)知事は、ニューヨーク市クイーンズ(Queens)区の競馬場など、ニューヨーク市各区の大規模施設に一時的な医療施設を設置すると発表した。マンハッタン(Manhattan)にあるジェイコブ・ジャビッツ・コンベンションセンター(Jacob Javits Convention Center)にはすでに医療スペースが完成しており、これをモデルにする。(c)AFP/Michael Mathes