【3月26日 AFP】新型コロナウイルスの世界的な大流行により、東京五輪の開催延期が決まったことを受け、金メダル獲得を目指すベテラン選手に影響が出る恐れがある。AFPは東京五輪が遠のいた可能性がある6人のスターを紹介する。

■ロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)/男子テニス

 四大大会(グランドスラム)通算20勝を誇るフェデラーは、2021年8月に40歳になる。

 2008年北京五輪ではスタン・ワウリンカ(Stan Wawrinka)とのペアで男子ダブルスの金メダルを獲得したフェデラーだが、シングルスでは2012年ロンドン五輪の銀メダルが最高で、北京では準々決勝で敗退し、2016年リオデジャネイロ五輪はけがのため出場しなかった。

 2000年シドニー五輪も4強止まりだったが、ミルカ(Mirka)夫人とのロマンスが始まったこの大会のことは、今も甘い記憶として覚えているという。

 北京、そして2回戦で敗退した2004年アテネ五輪でスイスの旗手を務めたフェデラーは、「総合的に見てこれまでで最も素晴らしい五輪はシドニーだろうね」と話している。

■セレーナ・ウィリアムス(Serena Williams、米国)/女子テニス

 2021年9月に40歳になるセレーナだが、東京五輪への出場意欲はフェデラーほど強くないのかもしれない。

 ロンドン五輪のシングルスで金メダルに輝いたセレーナは、姉のヴィーナス(Venus Williams)とペアを組んだダブルスではシドニー五輪、北京五輪、そしてロンドン五輪で優勝し、すでに四つの金メダルを手にしている。

 2016年リオ五輪でウィリアムス姉妹は初戦敗退を喫し、連覇を目指したシングルスでセレーナは3回戦でエリナ・スビトリーナ(Elina Svitolina、ウクライナ)に敗れた。

■タイガー・ウッズ(Tiger Woods、米国)/男子ゴルフ

 来年12月に46歳になるウッズは、2020年の立ち位置のままでは五輪代表チーム入りが困難だった。現在の世界ランキングでは米国人選手の中で6番手につけているが、代表チーム入りするのは上位4人となっている。

 メジャー通算15勝のウッズは、現在腰の負傷から復活を目指しているため、最低でも2021年まで大会が延期されたことで金メダル獲得の可能性が新たに生まれた。

 ウッズはゴルフが実施競技として復活したリオ五輪をけがで棒に振っており、大会側はレジェンドがプレーする姿を熱望しているはずだ。

■林丹(Dan Lin、リン・ダン、中国)/バドミントン男子

 輝かしい実績を持つ中国バドミントン界のスーパースターは、次の五輪を37歳で迎えることになる。

 北京と4年後のロンドンで金メダルを手にしている林は、世界選手権(TOTAL BWF World Championships)では通算5度優勝している。

 しかし2016年のリオ五輪では、北京とロンドンの決勝で戦った宿敵リー・チョンウェイ(Chong Wei Lee、マレーシア)氏に準決勝で敗れると、3位決定戦でも敗退して銅メダルまで逃しているため、やり残した仕事があるかもしれない。

■アリソン・フェリックス(Allyson Felix、米国)/陸上女子短距離

 女子陸上選手として歴代単独最多となる6個の五輪金メダルを獲得しているフェリックスは、東京五輪での有終に向けてこの2年間準備してきた。

 今年の終わりに35歳になるフェリックスが、出場すれば5大会連続となる五輪の舞台でメダルの数をさらに増やすためには、時間との競争になりそうだ。

 シドニー五輪では、当時40歳のマーリン・オッティ(Merlene Ottey)氏が4×100メートルリレーでジャマイカのアンカーを務めて銀メダルを獲得しており、フェリックスは自身が短距離でメダル獲得を目指す最年長選手ではないという事実に少し安心するかもしれない。

■ジャスティン・ガトリン(Justin Gatlin、米国)/陸上男子短距離

 物議を醸すことも多い38歳のガトリンは、自身4度目の五輪に出場して2020年に引退するつもりだったが、延期になった東京五輪に出場するため、現在はキャリアを延長する意向を示している。

 禁止薬物を使用し、キャリアで2度の資格停止処分を受けたガトリンは「こうした状況で、私や他のベテランアスリートには時間がないと多くの人が考えているが、それは的外れだ」とコメントした。

 しかし、米国男子の短距離はクリスチャン・コールマン(Christian Coleman)とノア・ライルズ(Noah Lyles)が100メートルと200メートルの本命であり、選手層の厚さを考慮すれば、2004年のアテネ五輪で金メダルを獲得したガトリンは激しい戦いを強いられるかもしれない。(c)AFP