【3月26日 AFP】国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ(Thomas Bach)会長は25日、延期となった東京五輪を成功に導くためには、すべての関係者の「犠牲と妥協」が必要だと語った。

 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)を受けて五輪延期が決定された翌日、バッハ会長は会見で報道陣に対し、「延期された五輪は、すべての利害関係者の犠牲と妥協が必要となる」とコメントした。

「アスリートの五輪の夢をかなえること」がIOCの役割だと話すバッハ会長は、東京五輪の中止が「議論対象となり考慮された」ことを明かしたものの、「当初からIOCは中止を望んでいなかった」と明言した。

 平時に五輪が延期されるのは史上初で、バッハ会長は2021年へのスケジュール変更は依然として「極めて難しい問題」だとしている。「夏だけに限定していない。2021年の夏前や夏を含め、すべての選択肢が机上にある」

 歴史的な開催延期によって生じる事業上の問題の一つに、東京湾を一望できる一等地に建設され、大会後は改装されてマンションとなる予定の選手村がある。

 大会延期による選手村への影響についてバッハ会長は、「状況をお伝えすることはできない。作業部会が取り組まなければならない幾千もの問題の一つだ」 と述べるにとどまった。

 1976年のモントリオール五輪で、西ドイツ代表としてフェンシング・フルーレ団体の金メダルを獲得したバッハ会長は、「もちろん伝統的な形の選手村になれば心からうれしい」とし、「選手村に一度でも住めば、これが本物の五輪体験だ、これは一生に一度の経験だと必ず知ることになる」と続けた。「世界中の人が一つ屋根の下で食事をともにし、一緒に喜び、ともに議論することで唯一無二の五輪の一体感は形成される」

 そしてバッハ会長は、「われわれは前代未聞の状況に置かれていて、前例のない問題を抱えている。現在の状況下で最高の解決策を見いださなければならない」と締めくくった。(c)AFP/Eric BERNAUDEAU