■「重要なサインとなる症状」

 こうした状況を受け、無嗅覚症をCOVID-19の潜在的な兆候として複数の国の専門家らが注意喚起している。

  米国耳鼻咽喉科・頭頸(けい)部外科学会(AAOHNS)は22日、事例証拠ではあるが、無嗅覚症と味覚障害が新型コロナウイルスの「重要なサインとなる症状」であることを示す症例が増えていると指摘した。

 ドイツでは、地域的な流行で2月に約1000人が2週間隔離されたハインスベルク(Heinsberg)で住宅を戸別訪問する調査が実施され、この時に感染者全体の約3分の2が数日間の嗅覚と味覚の喪失を訴えていたことが分かった。

 調査を行った独ボン大学(University of Bonn)のウイルス学者のヘンドリック・シュトレーク(Hendrik Streeck)氏は、「中には、子どもの汚れたおむつのにおいが分からなくなっていた母親もいた。シャンプーのにおいがしなくなったという人や、食べ物が薄味に感じるようになったという人も」と、独日刊紙フランクフルター・アルゲマイネ(Frankfurter Allgemeine Zeitung)の取材で語っている。

 英国の政治家として初めて新型ウイルス検査で陽性と判定されたナディン・ドリーズ(Nadine Dorries)保健・社会福祉政務次官も、嗅覚と味覚の両方が失われたことを明らかにしている。

 ドリーズ氏は先週、ツイッター(Twitter)への投稿で、「食べ物や飲み物が温かいか冷たいか、これだけしか分からない」と書いていた。(c)AFP/Kelly MACNAMARA