【3月25日 AFP】2020年東京五輪の1年程度の延期が決まったことを受け、五輪出場を有力視されていた各スポーツの選手たちがすぐさまSNSでコメントし、ほとんどが好意的な反応を見せている。

 国際オリンピック委員会(IOC)は24日、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)を受けて東京五輪を延期し、遅くとも2021年夏までに開催すると発表したが、新型ウイルスをめぐる状況が不透明な中では正しい決断だったというのが、選手たちの一致した見方のようだ。

 陸上男子マラソンの前回金メダリストで、非公式ながら世界で唯一2時間切りを達成しているケニアのエリウド・キプチョゲ(Eliud Kipchoge)は「おおむね非常に賢明な判断だ」「来年、五輪連覇のため日本へ戻り、素晴らしい大会を目撃できるのを楽しみにしている」と話した。

 前回リオデジャネイロ五輪の自転車トラック競技で金メダルを獲得したエリア・ヴィヴィアーニ(Elia Viviani)は、新型ウイルスによる死者数が世界で最も多いイタリア出身の選手。ヴィヴィアーニは「五輪の2021年への延期は僕にとって最善の決定だ。今はみんながもっと大きな問題に苦しんでいる。だから2021年にまた会おう」と話している。

 ベルギーの自転車選手ヴィクトール・カンペナールツ(Victor Campenaerts)は、恋人で水泳選手のファニー・ルクリュイーズ(Fanny Lecluyse、ベルギー)を心配し、「彼女はもう代表に選ばれているが、来年も選ばれるのか、それともまた予選を突破しないといけないのか。五輪を最後に引退する予定だったんだが」と明かした。

 体操のシモーネ・バイルス(Simone Biles、米国)のように、東京五輪限りでの引退を考えていた選手は、もう1年頑張らなくてはいけなくなった。

 バイルスのコーチで、自身もフランス代表として五輪に出場したセシル・ランディ(Cecile Landi)氏も、「必要だったとはいえ残念。特に体操選手は幼い頃からスポーツを始め、このために頑張ってきた」と選手の準備はできていたと話している。

 それでもランディコーチは「だけどもう一度気を引き締めて、『計画を練り直して』2021年に強くなって戻ってくる」と続けた。

 同じ女子体操のアンジェリーナ・メルニコワ(Angelina Melnikova、ロシア)も延期を悲しみつつ「すごく楽しみにしていたから、今はとても動揺している。みんなそう。だけどこれで時間ができた」「私はいつだってベストの演技を見せる。みんな一緒に頑張りましょう」とコメントした。

 男子飛び込みで2大会連続の五輪メダルを獲得したトム・デイリー(Tom Daley、英国)は現在25歳。デイリーは延期のダメージについて「確かに僕はまた一つ年齢を重ね、体もそれを感じるだろうが、全力で取り組むことを約束する」と話した。

 現役の時間が刻々と減っていることを感じている選手たちの中でも、延期の判断は支持されている。

 ボクシング選手である一方、議員としても活躍するインドのメリー・コム(Mary Kom)は前週末、海外から帰国した後の隔離指示を破り、ラム・ナート・コビント(Ram Nath Kovind)大統領が主催する朝食会に出席したことでニュースになった。38歳のコムは「素晴らしい適切な判断」と話している。