【3月26日 AFP】新型コロナウイルスによる経済悪化と計画通りに進まない選挙キャンペーンという二つの問題に直面しているドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が、自国民に対して明確なメッセージを打ち出せずにいる──。

 経済への影響はあるものの、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)を食い止めるため、ようやく対人距離の確保など拡大防止策に本腰を入れ始めたトランプ氏。しかし、それと並行して封鎖措置を緩和する可能性についても示唆しているのだ。

 トランプ氏は22日、ツイッター(Twitter)で、「われわれはどうするのか決断する!」と強調し、23日にも同じ内容で再び投稿した。

 医療物資の供給が混乱状態にあり、米議会が経済対策の難しい調整を迫られるなかでのトランプ氏のこうした最近の言動は、米国が必死に対策を模索していることを浮き彫りにするものとして捉えることができる。

■変わる立場と混乱

 政治経験がなかったトランプ氏は、大統領就任後は本能による決定と不動産業界の強気なスタイルを政治の世界に持ち込んだ。

 しかし、新型コロナウイルス感染拡大のような問題の発生は就任後初めてのことだ。これまでのような強引に押し切るスタイルは通用せず、トランプ氏が「見えない敵」と呼ぶ新型ウイルスに対して、その影響力をあまり行使できていない。

 コロナをめぐってはこれまでのところ、その態度や考えを二転三転とさせ、社会に混乱をもたらしているトランプ氏。当初は、拡大するウイルス感染を一蹴するような態度を取っていたが、その後は自らをウイルスとの戦争における「戦時下の大統領」と称するようにもなった。また、中国の対応を繰り返し称賛していたその態度も変化し、最近では新型コロナウイルスのことを「中国ウイルス」と呼ぶなど、中国に批判的だ。

 さらに22日には、自国民に対して「孤独で切り離されているように感じている(だろう)」「われわれは一致団結する」と語りかけ、まとめ役のごとく振る舞った。しかし翌23日には、ツイッターで「急進左派」に対する攻撃を再開し、ウイルス危機と不法移民阻止という自身の強硬政策を結び付けた。