■フランス・パリ

 パリ在住、30代のフリーのドキュメンタリーディレクター、バチスト・サウード(Baptiste Saude)さんは、「一番大変なのは社会生活が送れないこと」だと話す。

 普段なら、夜はスポーツをしたり友人に会ったりしている。しかし外出制限となって以来、同じく家に閉じこもっている友人たちとスカイプ(Skype)越しに「アペロ(夕食前に家族や友人と軽食やおしゃべりを楽しむ習慣)」をして過ごすようになった。

 フランス政府も先週、イタリアとスペイン同様に外出制限措置を導入した。ちょっとした「運動」のための外出なら許されるが、違反者には135ユーロ(約1万6000円)の罰金が科される。

 サウードさんは、近所の高齢者に電話をかけておしゃべりもしている。そのうちの一人、オディールさん(84)はピアノのリモートレッスンを受けており、サウードさんは音階練習の録音を手伝っている。

■イギリス・ロンドン

 ロンドン南東部に拠点を置く作曲家のベン・モラレス・フロスト(Ben Morales Frost)さんは、自主隔離措置を利用して、「ロックダウン(都市封鎖)・オーケストラ(lockdown orchestra)」と名付けられた音楽の世界的なプロジェクトを主導している。

 英国政府は23日、国民の外出を3週間にわたり原則禁止する封鎖措置を命じた。「必須ではない」店舗とサービスは閉鎖され、3人以上の集会は禁じられる。

 フロストさんは、世界の自宅にこもっている音楽家に呼び掛け、自身が最近書き上げた曲を共に演奏するために6大陸で500人の音楽家を集めた。フルサイズのオーケストラが七つは編成できる人数だ。

 音楽家たちは各自で撮影した短い動画をフロストさんに送り、それをフロストさんがリモートのチームと一緒に編集し、27日に動画配信サイト「ユーチューブ(YouTube)」でバーチャルコンサートを配信する予定。

「こんなおかしなことになるとは…こうした事態になるなんて思ってもみなかった」とフロストさんは語った。(c)AFP/Gildas LE ROUX with AFP bureaus