【3月25日 AFP】欧州各国は新型コロナウイルス感染拡大策として外出制限措置を講じており、数億人もの人が突如として第2次世界大戦(World War II)以来最大の変化を日常生活で強いられている。パニック映画さながらの人けが消えた街で、家に閉じこもって退屈な生活と孤立と闘いながら気力を保つことが多くの人にとっての課題となっている。

 それでも人々は苦難にもめげず創造性を発揮している。どのような生活を送るにせよ、コツは外界とのつながりを維持することにあるようだ。

■イタリア・ローマ

 ローマのトラステベレ(Trastevere)地区で隠居生活を送るカルラ・バサーニ(Carla Basagni)さん(86)は、日課をつくって毎日の孤独な生活を乗り切っている。

「外出できないので家の中で体操をして、1日に少なくとも5回は水を飲むようにしている。忘れないように、台所に水を入れたグラスを5杯並べている」とバサーニさんはAFPに話した。「ワインは大好きだけど、ほんの少しだけ」

 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)で欧州の中心地となっているイタリアは22日、新たな規制を導入。外出する際は、仕事、食料品の買い物、または健康上の問題など重大な理由があることを証明する書類に記入して申告しなければならない。違反した場合、3か月の禁錮刑か206ユーロ(約2万4000円)の罰金が科される可能性がある。

 バサーニさんは自宅にほぼ24時間閉じこもっている。「おいしい料理」を作り、「読書をして、ソファやベッドに時々横になって居眠り」して過ごしているという。

■スペイン・マドリード

 医学生パウラ・ペレス(Paula Perez)さん(19)は、母親と一緒にマドリードのアパートに住んでいる。50平方メートルほどのこのアパートの住民たちは毎晩、あることを日課にしている。午後8時になると医療従事者たちに拍手を送り、それぞれの窓から住民同士が会話するのだ。ペレスさんは拍手を初めて聞いたときは「とても感動した」と話す。

 スペインでも厳重な外出禁止令が出されており、自宅で仕事ができない場合や、薬や食料の購入、近場での犬の散歩に限って外出が許されている。

 普段は混み合うマドリード市内の通りは、今は人けがない。代わりに市民はバルコニーから音楽を演奏するか、近所の人とビンゴパーティーを開いて窓越しに大きな声で数字を読み上げている。