【3月24日 AFP】アルゼンチン人のディエゴ・アスピティア(Diego Aspitia)さん(42)とソフィア・クッジーノ(Sofia Cuggino)さん(32)は1年前に婚約し、3月に結婚式を挙げる予定だった。だが世界の多くの人と同様、新型コロナウイルス感染症による外出禁止令の影響で式を中止せざるを得なくなった。

 政府が先週、全国的な外出禁止措置を発表したため、2人は結婚式をどうするかという選択を迫られた。そこで思い付いたのが、バーチャル結婚式だった。牧師、友人、家族全員に、インスタグラム(Instagram)とフェイスブック(Facebook)を通じて参加してもらうことにしたのだ。

 新居に引っ越したばかりの2人は今月20日、隣人に借りたWiFiを使って、福音派教会の牧師と約400人の「招待客」を式につなげた。

「結婚式は人生で最も大事なイベントの一つだけど、2人で夢見ていた通りにはできないのだという現実を受け入れるまでには結構時間がかかった」と、アルゼンチンのコルドバ(Cordoba)にあるドラッグストアで働くアスピティアさんは話す。

「社会全体のことを考えて自分たちの夢は諦めた。2人で家にいて、外出禁止措置に従うことにした。そのことは全く後悔していない」

 2人は遠距離恋愛で、クッジーノさんは交際期間の大半は、スペインで研究生活を送っていた。

 コルドバ大学(Cordoba University)農学部教授のクッジーノさんは、「すべての計画がダメになったとき、2人で一番大切なことだけ考えるようにした。それは、他の人たちにも証人としてずっと式に参加してもらい、祝福してもらうことだった」と話す。「それだけ。パーティーもごちそうもドレスもなし。それでおしまい!」

 披露宴は11日間が予定されている外出禁止令が終わるまで延期した。

「披露宴は先延ばしにした。来てくれる人たちみんなでハグして踊って笑ってお互いの目を見たいから。そして一緒に飲みたい」とクッジーノさんは語った。

 アルゼンチンの新型コロナウイルス感染者数は23日時点で200人を超え、死者は4人となっている。

 映像は21日撮影・提供。(c)AFP/Carlos REYES