【3月24日 CNS】宙空で旋回しながら市民に互いの距離を保つよう促すドローン、一人一卓で食事をするレストランのルール、体温を測らないと入れない自宅マンション――中国で評判の日本人ディレクター:竹内亮(Ryo Takeuchi)さんが、微博(ウェイボー、Weibo)上で最新作「南京におけるウイルスとの戦いの現場(中国語:『南京抗疫現場』)」を更新すると、ネットユーザーらがすぐにそれぞれの言語でコメントを書き込み、各国のSNSのプラットフォームに転送する。新型コロナウイルスの世界への感染拡大につれ、この日本人が中国で作成したウイルス対策期間中の短編動画が、世界中の数えきれないネットユーザーの注目を浴びている。

 この南京で生活している日本人は、自身が日中両国、そして世界のネット上でこれほど有名になるとは想像もしていなかった。竹内さんが「南京抗疫現場」という題の日記的な短編動画を日本のSNSプラットフォーム上で発信すると、この数週間で、日本、中国、そしてその他各国のメディアから大量の取材のオファーが入ったのだ。

 これはまさに竹内さんとそのチームがわずか三日間で短編作品を撮影、編集、完成させた原動力でもある。「私は本当に心配していました。日本で感染者が毎日のように増え続けているのに、日本政府の感染対策は不十分に見えました。日本人の意識も危機感に欠けているように感じました」と竹内さんは語る。「現実の中国の街角で、ウイルス対策がどのようになされているかを、私は日本人に見てもらいたかったのです」

 手に温度測定器を持った門衛のおじさん、ファストフード店のゼロ接触サービス、ネット授業を行う教師――竹内さんが撮影した画像には特别な人物や場所は映っていない。「それらはすべて身近なシーンばかりです。ウイルスとの戦いの中で、行けるところは限られます。撮影できるのは仕事場までの通勤の路上や、食事をするレストランや身近な人だけなのです」

「作品の編集の中でも、特に余計な説明を加えず、BGMも入れていません。あるがままの情報を伝達し、日本人に見てもらいたかったのです。人まねもしたくありません。国が違えば状況はまったく違いますから」と竹内さんは言う。ひょっとしたらこれが、一見単純で荒削りの作品がヤフーのトップを飾り、日本のテレビ局のニュース番組で扱われ、数千万人のネットユーザーが注目するようになった原因かもしれない。

 竹内さんは「毎日、日本からたくさんのフィードバックが来ます。大部分は『驚きの声』です。どんどん減少する感染者数の背景には、中国の町でこれほどたくさんの細やかな仕事をやっている。でも多くの日本人は、日本ではできないと認めています」と話している。

 現在、この日本語版の短編記録は中国語「微博」上で閲覧数が1000万回に達し、中国のネットユーザーからの「いいね」は14万件を超える。

 竹内さんは2014年、夫人と共に番組制作会社を設立。2020年3月19日の時点で、「私がここに住む理由」などの短編ドキュメンタリー作品200本を制作・発表してきた。これらはすべて、長さが10分前後の短い作品で、そのテーマは大部分が日本で生活する中国人か、中国で生活する日本人を描いており、日本文化と日本語を学ぶ中国のネットユーザーの中で評判となっている。

「私はずっと南京に住んで、中国で生活や仕事をしていきたいと思っています。ここの人たちをもう7年撮り続けていますが、いまだに飽きることはありません。南京の人は外地の人に対してとても優しく、情熱的で、私のような日本人に対しても優しく接してくれます。私のカメラの前でも、すごく自然でリアルです。一人一人の物語はとても格別で、私にはやりたいテーマがたくさんあるのです」と言う。将来も、竹内さんは引き続き「ここに住む理由」があるのだ。(c)CNS/JCM/AFPBB News