【3月23日 AFP】新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で封鎖下にあるレバノンの町で21日、母の日を祝い、ドローンでバラが配達された。バルコニーでバラを受け取ったある母親は驚き、満面の笑みを見せた。

 新型コロナウイルス感染症の広がりで、今年の母の日は台無しになるところだった。だが、3人の学生が、封鎖下でも母の日を祝うための新たなサービスを考え出した。

 クリストファー・イブラヒム(Christopher Ibrahim)さん(18)は、海岸沿いの町ジュニエ(Jounieh)の通りで、配送依頼をした10代の子どもに、家族をバルコニーに連れ出すようテキストメッセージを送った。

 イブラヒムさんは、ドローンにぶら下がる輪に1本のバラを滑り込ませた。バラは空中に持ち上げられ、母親のもとへ運ばれた。

 レバノンでは1週間ほど前、外出禁止措置が導入された。空港は閉鎖され、不要不急の営業は停止されている。同国の新型コロナウイルスの感染者は230人、死者は4人になった。

 イブラヒムさんは、ドローンでバラを配達することにした。イブラヒムさんはドローンで複数の結婚式の撮影をしたことがあり、また、赤十字のボランティアもしている。

「誰とも接触することなく、一番安全な方法でお母さんたちを幸せにできることを考えたかった」とイブラヒムさんは語った。

 今回の型破りな試みは、母親を元気づけるだけではない。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)と闘う、医療従事者への支援も目的とされている。

「この試みの利益は、すべて赤十字に送られる」とイブラヒムさんは言った。バラの配送費用は、1万~2万レバノン・ポンド(約730~1460円)。場所に応じて変動するという。

 映像は21日撮影。(c)AFP