【3月23日 AFP】チェコで先週、密輸取り締まりの一環で何十万枚ものマスクが押収された。その後このマスクの一部が、今や新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)の中心地となっているイタリアの病院向けに中国が寄付したものだったことが判明し、チェコ当局は23日、この押収分の代わりとしてイタリアに11万枚のマスクを提供したと発表した。

 チェコは医療物資の輸出や流通の規制を強化しており、警察が17日に医療器具の密輸摘発を実施。首都プラハ北郊ロボシツェ(Lovosice)にある民間企業所有の倉庫から、68万枚のマスクに加え、複数の人工呼吸器が押収されていた。

 チェコ地元当局は、押収されたマスク38万枚を地元の病院に分配すると発表していたが、20日になって、ヤン・ハマーチェク(Jan Hamacek)内相が「調べを進めた結果、押収されたマスクの一部は少数ではあるが中国がイタリアへ寄付したものだった」とツイッター(Twitter)上で認めた。

 チェコメディアは、中国から寄付されたマスクは10万枚余りだったと報じていた。

 伊全国紙レプブリカ(Repubblica)は21日、チェコ当局が、密輸の取り締まりを口実に、イタリアの病院のために送られたマスクを押収したと報道。一部メディアは「窃盗」とも表現した。

 マスク11万枚をイタリアに送ったことを発表したトマーシュ・ペトシーチェク(Tomas Petricek)チェコ外相は、「わが国は何ら盗んでいない」と反論。

 ペトシーチェク外相はAFPに対し「ロボシツェは中国とイタリアを結ぶルート上にはない」と述べ、これらのマスクがなぜロボシツェの倉庫にあったのか、警察が捜査していると明かしている。(c)AFP