【3月27日 People’s Daily】中国西北部の寧夏回族自治区(Ningxia Hui Autonomous Region)塩池県(Yanchi)ムウス砂漠(Mu Us Desert)の南にある寧夏ハバ湖自然保護区(Ningxia Haba lake National biological reserve)は、緑地の中に湖沼が点在し、砂漠の南侵を防いでいる。

 90年代の塩池県は、植物被覆面積はわずか13%で、1年の3分の1は砂嵐が吹いていた。2006年2月、中国国務院が寧夏ハバ湖自然保護区を設置した。保護区の総面積は3万4000ヘクタール、湿地の生態系と砂漠の生態系をコントロールして調和させ、保護区における現在の湿地面積は約1万ヘクタールにのぼる。

「ここでの年間降水量は300ミリリットルにすぎず、蒸発量は降水量の8倍あります。貴重な湿地は、保護区内の野生動物の生息地と繁殖地になっており、渡り鳥の大切な中継地にもなっています」。寧夏ハバ湖自然保護区の管理局の呉宏(Wu Hong)局長は語る。

 この地域はかつて黄砂に覆われ、砂漠の拡大で人の住める土地は縮小した。担当者の説明によると、湿地が形成される主な原因は豊富な地下水と特殊な地形構造であり、地表を覆った植物は湿地の生態系の均衡を保つのに大きな役割を果たす。保護区は近年「開墾の代償を補い、湿地の生態系を修復し、地域の環境を整える」運動を展開し、人類の活動が湿地を併吞(へいどん)することを防ぎ、住民による湿地の開墾によって、鳥類・野生動物に影響が及ぶのを防ごうとしている。

「2014年から、ハバ湖自然保護区は国指定の『湿地生態系に関する功利補償を行う拠点』の一つに挙げられ、このことが保護区内で湿地生態系の修復を行う上で大きく作用しました」。呉宏氏の説明では、ハバ湖自然保護区が獲得した補助金は1億2500万元(約19億4000万円)である。鳥類および野生動物から損傷を受けた耕地に補償が与えられ、4502万元(約7億円)が投入され、8152戸の住民が利益を受けた。

 2014年より、ハバ湖自然保護区探索地区の分譲マンションは、住民と保護区管理部で協力関係を築き、保護区の建設発展に共に参加している。これまでに135人の森林パトロール、54人の森林資源監督管理員が地区マンションの資源管理活動に参加している。

「湿地生態系の回復・修復工程を通して、湿地生態系の機能は明らかに上昇し、野生動物の生活と繁栄の場となり、鳥類の数も徐々に増えています。2019年3月、保護区付近の観測地点で絶滅危惧種アカハジロ(カモの一種)2羽が観測されました」。ハバ湖自然保護区管理局・科学研究広報課の余殿(Yu Dian)課長は言った。

 現在、ハバ湖自然保護区の塩池県の森林面積・植物被覆面積の割合はそれぞれ31%と70%に達した。砂嵐はこの10年で劇的に減少した。

 生態系や環境の改善は、旅行業の発展をもたらした。統計によれば、森林公園が成立して10年余りで、訪れた旅行客は累計20万人余り、観光収入は1000万元(約1億5000万円)を超えたという。(c)People's Daily/AFPBB News