【3月19日 AFP】世界で新型コロナウイルスの感染が拡大する中、このウイルスが最初に確認された中国では、異例の封鎖措置と移動制限により国内で感染する人が急減しており、中国以外とは逆の方向へ向かい始めている。

 レストランや交通機関、工場が再開し、中国は新型コロナウイルスによる昏睡(こんすい)状態から目覚めたかのようだ。そのことを最も明確に表しているのは、公園や広場に再び集まるようになった「踊るおばさん」たちだ。

 定年退職して北京で暮らしているワン・フイシアン(Wang Huixian)さんは、公園に集まり、ポータブルスピーカーの音楽に合わせて踊る国民的娯楽を楽しむ女性たちの一人だ。だが今は、他の人たちと3メートルの間隔を空けるようにしている。

 日常生活は正常に戻ったと言うには程遠い。大半の場所はマスクを着用し体温を測定しなければ入れない。大規模な「社会距離」キャンペーンが行われる中、飲食店は客が向かい合って食事をすることを禁じているが、人口が世界で最も多い中国では容易なことではない。

 人々は握手を求められると縮み上がり、多くのレストランは半数の椅子を撤去して客と客の間のスペースを確保し、大規模会合に対しては今もさまざまな規制が課されている。

 今や誰もが着用するようになったマスクは、朝の身支度習慣の一つとなり、インターネットでは影響力の大きい美容アドバイザーらがマスクを汚さないよう顔の上半分だけに化粧する方法を数百万人の女性たちに教えている。

 新型ウイルスは、中国で8万1000人近い感染者と3200人を超える死者を出したが、それ以外にも多くの傷痕を残した。

 世界第2位の経済大国である中国では、工場の閉鎖と大都市の封鎖により、数週間にわたり社会機能が停止。失業者の急増や企業の倒産などから生じる痛みは長引くとみられている。

 映像は13、14、17日撮影。(c)AFP/Dan Martin, with Qian Ye in Beijing