【3月19日 AFP】新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)で多くのアスリートが東京五輪の開催に懸念を示す中、国際オリンピック委員会(IOC)は18日、「理想的な」解決策はないことを認めた。

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 サッカーでは欧州選手権(UEFA Euro 2020)とコパ・アメリカ(2020 Copa America)の開催が1年延期されたが、IOCは予定通り7月24日の東京五輪開幕に向けて準備を進めると強調している。

 大会が開催されれば健康へのリスクを強いられるとしてトップアスリートから批判が噴出する中、IOCの広報担当は「例外的な解決策を要する例外的な状況」とコメントした。

「IOCは大会の品格を守り、アスリートの健康保護に努めると同時に、選手へのマイナスの影響が最小限になる解決策を模索している」「この状況下ではどのような解決策も理想的ではなく、だからこそわれわれはアスリートの責任感と団結に期待している」

 2016年リオデジャネイロ五輪女子棒高跳びの金メダリスト、カテリナ・ステファニディ(Katerina Stefanidi、ギリシャ)と、2019年に開催された第17回世界陸上ドーハ大会(17th IAAF World Championships in Athletics Doha)女子七種競技で優勝したカタリーナ・ジョンソン・トンプソン(Katarina Johnson-Thompson、英国)は、IOCのスタンスに疑問を呈している。

 ギリシャのスポーツ界で圧倒的な人気を誇るステファニディは、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の流行により中止となったギリシャ国内の聖火リレーで最終ランナーを務める予定だった。新型ウイルスにはグリニッジ標準時(GMT)18日午後1時(日本時間同日午後10時)時点で20万人以上が感染し、8092人が亡くなっている。

「IOCは選手が毎日トレーニングをすることで私たちの健康、私たち家族と公衆の健康を危険にさらし続けたいのだろうか?」とツイートしたステファニディは、「あなたたちは4か月後の私たちではなく、きょう今現在の私たちを危険にさらしている」と続けた。

 またジョンソン・トンプソンは、選手たちに「できる限りの範囲」でトレーニングを積むようアスリートに伝えたIOCを批判し、厳しい政府の健康対策には相いれないと語った。

「トレーニングをすることにプレッシャーを感じて、同じルーチンを維持することは不可能」「最後の期限を除いて、準備段階がすべて変わってしまった中で、シーズンに取り組むのは難しい」 (c)AFP/Eric BERNAUDEAU