■「チップを増やそう」 SNSの呼び掛けにNY市民は

 マンハッタン(Manhattan)中心部で、配達用の電動自転車から降りたメキシコ人のルイス・ベンチュラ(Luis Ventura)さん(30)は「食べ物を配達するたびに、消毒剤で手を消毒し、手袋を取り換えている」とAFPの取材に答えた。

 ベンチュラさんは、数日前までギリシャ料理店の調理師として働いていたが、急速な新型ウイルスの流行拡大によって売り上げが激減したため、職を失ったという。

 ベンチュラさんは料理の宅配会社ポストメイツ(Postmates)と契約しており、時給は9ドル(約980円)。ニューヨークの最低賃金15ドル(約1600円)を下回っている。

「正直なところ、この金は今月中には手に入らない」とベンチュラさんは嘆く。

 西アフリカのギニア出身のアブドゥラエ・ディアロ(Abdoulayle Diallo)さん(19)は、配達先でドアノブやエレベーターのボタンに触るときに特に注意を払っていると話した。

 料理の宅配会社シームレス(Seamless)で2年働いてきたディアロさんは「誰が病気か分からないから」と話し、「ほかに選択肢がないから仕事を続ける」と付け加えた。

 一部のニューヨーク市民はソーシャルメディア上で、連帯を示すために配達員へのチップを増やすよう呼び掛けている。

 だが、AFPの取材に応じた10人ほどの配達員らは、これまでよりもチップが増えたと感じたことはないと話した。(c)AFP/Laura BONILLA