【3月31日 AFP】「カウントダウン3、2、1」。打ち上げの合図とともに、全長2メートルの小さなロケットが炎を噴射しながら空へと昇っていく──。インドネシアの東ジャワ(East Java)州にある不毛の低木地でロケットの打ち上げ実験を行っているのは、同国の国立航空宇宙研究所「LAPAN」だ。

 ロケットは高度数百メートルに達した後、どさりと音を立て地面に落下した。それを見た科学者らは親指を立てるしぐさをし、実験が成功したことを明らかにした。

 米ヒューストン(Houston)にあるミッション管制センター(Mission Control Center)には程遠い状況だが、「インドネシアのNASA(米航空宇宙局)」の名で知られるLAPANが抱く夢は大きい。最東部パプア(Papua)州の沖にある熱帯の島に、同国初の宇宙基地を建設する計画を進めているのだ。

 LAPANのロケット技術センター幹部、リリス・マリアニ(Lilis Mariani)氏はAFPの取材に応じ、「われわれは独自開発した観測用ロケットを、5年以内に宇宙空間に送り込むという夢がある」と述べた。

 観測用ロケットには、飛行中にさまざまな測定や実験を実施するための機器が搭載される予定で、「農業や林業と関係のある大気についての研究に役立つ」としている。

 インドネシアの野心的な試みがどれほど現実的か、疑問を投げかける専門家もいる。実現するかどうかは、しぶしぶながらも政府が必要な資金をどれだけ出してくれるのかということにかかっていると関係者らは認めている。

 LAPANは研究用衛星技術開発で一部成果を挙げてはいるが、日本、中国、インドといった他のアジアの宇宙機関に比べれば、その規模は小さい。それでも、インドネシア産のロケットを周回軌道に送り込み、宇宙科学の分野で他国と肩を並べることを目標に掲げている。