【3月18日 AFP】イスラエルの国内諜報(ちょうほう)機関シンベト(Shin Bet)は17日、新型コロナウイルス感染拡大の防止のため、市民に関する情報収集を担うことになったと発表した。

 シンベトによると、感染拡大の抑制を目的とした「国家的取り組み」においてウイルス感染者の最近の動きを追跡するに当たり、政府から「高度な技術を用いることを承認された」という。ただ、ウイルス流行との闘いに諜報機関が関与することに対しては、民主的規範が順守されないのではないかとの懸念も生じている。

 シンベトのナダブ・アルガマン(Nadav Argaman)長官は「監視および規制メカニズム」が立ち上げられたとし、「今回の任務は通常の対テロ活動の範囲を超えたものであると認識している」と述べた。

 どのような監視手法が用いられるのかについて、首相府は詳細な説明を拒否している。だが、国内メディアにリークされた有事規制に関する文書によると、警察は裁判所の許可なく感染者、および隔離者の位置データを電話会社から収集することができる。

 また、感染者については「経路と接触者を把握するため」、診断まで14日間の位置データも収集できるという。

 シンベトを巻き込んだウイルス対策について、シンクタンク「イスラエル民主主義研究所(Israel Democracy InstituteIDI)」のタヒラ・シュワルツ・アルトシュラー(Tehilla Shwartz Altshuler)氏は、他の分野への介入を招く「危険な先例」となる可能性があると警告している。

 一方、AFPの取材に応じた治安関係者は、シンベトは「積極的な盗聴活動」を行うつもりはなく、「サイバー攻撃も行わない」と述べている。(c)AFP/Jonah MANDEL