【3月18日 AFP】新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、東京五輪に向けた準備を予定通り進めていくという国際オリンピック委員会(IOC)の判断に対して、IOC内部から「無神経で無責任」との声が出ている。

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 批判の声を上げているのは、IOC委員のヘイリー・ウィッケンハイザー(Hayley Wickenheiser)氏。同氏は元女子アイスホッケーのカナダ代表で、2002年のソルトレークシティー五輪から4大会連続の金メダルを獲得している。

 新型ウイルスの感染が世界的な大流行に発展する中で、IOCと日本政府、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(Tokyo Organising Committee of the Olympic and Paralympic Games)は、予定通り7月24日の開幕に向けて準備を進めると強調しており、IOCは17日の会合後にも「重大な決断」を下す必要はないと話した。

 しかしウィッケンハイザー氏はツイッター(Twitter)で、ウイルス絡みの封鎖によって練習施設を利用できない選手が現れたり、大きな大会や予選が中止になったりしている中、選手の準備はすでに壊滅的な状況だと指摘した。

「今回の危機は、五輪よりも大きなものになっている」「3か月後はもちろんのこと、今後24時間で何が起こるかも分からない」「選手の目線に関しては、私は彼らが今感じている不安や心痛を想像し、共感しようとすることしかできない」

「選手は練習できず、観客は渡航計画が立てられない。どんな感度を持ったスポンサーやマーケターも売り込みができない」「その中で、IOCがこれだけ断固として続行を強調するのは、人類の状況を踏まえれば、無神経で無責任だと思う」

 ウィッケンハイザー氏はその後、自身の意見を補足するツイートを投稿し、「五輪は中止すべきか? 現時点では誰にも分からないし、それが私の考え」だと話した。

「しかし、このまま続けると断言するのは、練習を続けている選手や広く世界の人たちに対して不誠実だ。私たちは、未知の物事を認めなければいけない」 (c)AFP