【3月17日 AFP】米中二大国の間で、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)が新たな火種になっている。両国は16日、新型ウイルスをめぐり相手をおとしめる中傷をやめるよう相互に要求した。

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 新型コロナウイルスは昨年末、中国湖北(Hubei)省の省都・武漢(Wuhan)で初めて確認されたが、ここへ来て中国以外での新規感染者数と新規死者数が中国を超えたと世界保健機関(WHO)が発表すると、米中両国の間で衝突が生じた。

 米国務省によると、マイク・ポンペオ(Mike Pompeo)国務長官は、中国高官の楊潔チ(Yang Jiechi)氏との電話会談で、中国政府が公式ルートを使って「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する非難の矛先を米国へそらそうとしている」として怒りを表明した。

 ポンペオ氏は、「今は虚偽情報や奇妙なうわさを広めるときではなく、すべての国が一致団結してこの共通の脅威と闘うときだと強調した」という。

 米国務省は13日に中国の崔天凱(Cui Tianka)駐米大使を呼び、中国が広めている陰謀論がソーシャルメディアで広く注目を集めているとして非難した。

 科学者らは珍しい動物を取引する武漢の食肉市場が新型コロナウイルスの発生源だとみているが、中国外務省の趙立堅(Zhao Lijian)報道官は先週、世界的流行の「患者0号」は武漢ではなく米国からやって来た可能性があると、ツイッター(Twitter)に中国語と英語で投稿。同氏は、「武漢に流行をもたらしたのは、米軍かもしれない。透明性を示せ! 情報を開示せよ! 米国はわれわれに対して説明責任がある!」とツイートした。

 一方、ポンペオ氏自身も連日、SARS-CoV-2(新型コロナウイルスの正式名称)を「武漢ウイルス」と呼び、すでに中国の反発を招いていた。保健衛生の専門家らは、そうした地理的な呼称は汚名を着せることにつながりかねないと警告している。

 中国国営新華社(Xinhua)通信は両者の電話会談の要約を掲載。その中で、中国の外交政策を担う中心的人物である楊氏が「中国を中傷するいかなる計画も失敗することになるだろうと、米国に厳しく警告した」と報じている。

 楊氏はまた、「米国の一部の政治家はたびたび中国とその新型ウイルス対策を中傷したり、中国に汚名を着せたりして、中国国民を怒らせている」と言及。「米国側に即刻、不当な振る舞いを正し、中国に対する根拠のない非難をやめるよう要求した」という。(c)AFP/Shaun TANDON