【3月16日 AFP】2月にデオンテイ・ワイルダー(Deontay Wilder、米国)とのWBC世界ヘビー級タイトルマッチを制し、新王者に輝いたタイソン・フューリー(Tyson Fury、英国)に、過去のドーピング違反に関する新たな疑惑が浮上している。

 疑惑は英紙デーリー・メール(Daily Mail)が報じたもので、それによると、フューリー側は薬物違反に関する釈明のため、ある農家の男性に金を渡してアリバイづくりをしていたという。

 フューリーと、同じくプロボクサーであるいとこのヒューイ(Hughie Fury、英国)は、2015年の検査で禁止薬物のナンドロロン(nandrolone)が見つかり、高い費用を支払って英国反ドーピング機関(UKAD)との折衝を長期間にわたって続けた末、2年間の資格停止処分を受け入れた。しかし処分は過去にさかのぼって科されたため、二人は2017年12月からキャリアを再開することができた。

 このとき、フューリー側が陽性になった原因として挙げたのが、去勢されていないイノシシの肉を食べたことだった。ところが今回、当時肉をフューリーらに出したと言っていた農家の男性が、一転して事実ではないと明かし、フューリー側から2万5000ポンド(約330万円)をもらって話をでっち上げたと主張した。

 しかしWBCのマウリシオ・スライマン(Mauricio Sulaiman)会長は、フューリーの覇権に「影響はない」だろうと英大衆紙サン(Sun)で話している。

「個人的には、金銭的見返りを得て法的書類でうそをついたことを認めた人間よりも、フューリーの方を信じたい」「金を受け取ってうそを言ったという男の話は確認の必要があると思っている。何しろ、5年もたってからこの話を持ち出したわけだからね」

「それに、当時のタイソンはWBCと縁がなく、ウラディミール・クリチコ(Wladimir Klitschko、ウクライナ)との試合は他団体のタイトルマッチだった。だから、この件はわれわれのチャンピオンのヘビー級王座に影響はない」

 フューリーの現在のプロモーターで、当時はまだ契約していなかったフランク・ウォーレン(Frank Warren)氏は、サン紙に対してこの人物から手紙が届いていたことを明かし、「タイソンはこの男と会ったことなどないし、話は全くのでたらめだ」と話している。(c)AFP