【3月15日 AFP】シリアで残虐な内戦が始まってから、15日で10年目に突入する。

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 2011年3月15日、バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権に抗議する反体制デモに参加しようと街頭へ繰り出したシリアの人々は、それが反体制派、イスラム教過激派、さらに外国勢力を巻き込んだ複雑な内戦に発展するとは思いもよらなかっただろう。

 南部ダルアー(Daraa)で起きたかつてない反政府デモはシリア全土へ広がった。武力行使による鎮圧が開始されると間もなく、湾岸諸国の後ろ盾を得た反体制派は武器を取り、シリアの主要地域を政権による支配から奪取した。さらにイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」をはじめとするイスラム過激派が台頭。ISは2014年にはシリアと隣国イラクの広大な部分を制圧するまで勢力を伸ばした。

 在英のシリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)の14日の発表によると、死者は民間人11万6000人超を含めて少なくとも38万4000人。1100万人以上が難民や国内避難民となっている。

「革命の9年間は亡命、爆撃、そして死のはざまで、私たちが知っている苦しみの広がりを示すものだ」。北西部イドリブ(Idlib)県ダナ(Dana)に暮らす人権活動家のハラ・イブラヒム(Hala Ibrahim)さんは言う。反体制派の最後の拠点が残る北西部には今、政権軍が最終攻撃を加えている。

 シリア内戦にはまた、5か国が絡んでいる。アサド政権軍は、ロシアとイラン、それにレバノンのイスラム教シーア派(Shiite)組織ヒズボラ(Hezbollah)の支援を得て、国土の70%を奪還した。

 北西部では今月に入り、ロシアと反体制派を支援するトルコが停戦入りすることで合意。合同パトロールを開始することでも一致したが、先行きは不透明だ。

 米軍は昨年、撤退を発表したにもかかわらず今もシリア北東部のクルド人自治区に駐留している。ISと戦ってきた米政府の次なる主な目標は、イランの影響力を阻止することだ。

 国連(UN)のゲイル・ペダーセン(Geir Pedersen)シリア担当特使は14日、「この悲劇的かつ悲惨な10年間にシリアの人々が受けた苦痛は、いまだ理解を超える信じがたいものだ」と述べた。

 アントニオ・グテレス(Antonio Guterres)国連事務総長はツイッター(Twitter)への投稿で「10年間の戦闘がもたらしたものは、荒廃と悲惨でしかない」「軍事的解決はない。今こそ外交に出番を与えるときだ」と述べた。(c)AFP/Tony Gamal-Gabriel