【3月16日 Xinhua News】中国山西省(Shanxi)考古研究所がこのほど発表した2019年の同省重要考古学発見の一つに、呂梁地区で初めて実施された発掘調査で見つかった西磁窯溝村の磁器窯遺跡が選ばれた。同遺跡からは北宋時代の「柿色彩」磁器が出土しており、同地区の陶磁器考古学の空白を埋め、同省の地域特色を色濃く備えた磁器の新たな産地の存在を実証した。

 考古研究者は昨年、呂梁市(Lvliang)興県(Xing)北部の魏家灘鎮(Weijiatan)西磁窯溝村の北にある渓谷で古い磁器窯跡を発見した。5~10月に実施した発掘調査では、窯炉や作業場、沈殿池などの遺構が見つかり、年末にかけて出土した磁器片の初期段階の復元作業が行われた。

 磁器窯の時代区分は北宋から金代初期に属し、小規模ながら全ての機能を備えた小型工房の様子を今に伝えている。出土した磁器は日常生活に用いられる粗質白磁が中心で、わんや杯、鉢、盛器などの形状に分かれており、胎質の粗い黒釉器や褐釉器も幾つか含まれていた。

 器物は無地が多く、装飾は化粧土の上から褐色や赤褐色で彩色したものが中心で、焼成後の製品には鮮やかで濃厚な黄色や赤の柿色が表れている。装飾技法は主に筆による打点や輪郭画で、筆遣いは豪放で線は滑らか。題材は抽象線や花卉文(かきもん)が多く、風格は質朴かつ活発で、民間文化の息遣いを色濃く残している。

 西磁窯溝村の磁窯跡発掘調査プロジェクトの責任者、山西省考古研究所の劉岩(Liu Yan)副研究員は「器物の形であれ、装飾の題材や色彩であれ、今回出土した磁器は他省で作られた同様の装飾技法を持つ器物と比べ明らかな違いがある。山西省の地方特色が強い」と語った。

 劉氏によると、同村での発掘は呂梁地区で行われた初の古代磁器窯跡の発掘調査であり、中原地域(黄河中下流域)や北方地域の陶磁器手工業の生産技術の伝播や呂梁地区に陶磁生産の伝統が伝わった経路、生産経済モデルの研究を進める上で科学的資料をもたらし、重要な学術的意義があるという。(c)Xinhua News/AFPBB News