【3月15日 AFP】たばこ産業のように、IT業界にも規制が必要だ──。英政治コンサルティング会社ケンブリッジ・アナリティカ(Cambridge AnalyticaCA)が、米フェイスブック(Facebook)から大量のユーザー情報を入手していた問題を内部告発した元CA社員、クリストファー・ワイリー(Christopher Wylie)氏(30)が警告した。

 CAは、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の側近だったスティーブ・バノン(Steve Bannon)氏が設立した政治コンサルティング会社だった。データサイエンティストのワイリー氏は、2016年の米大統領選におけるトランプ氏の勝利を含め、同社がさまざまな選挙の結果を左右するためにフェイスブックからユーザーに無許可で入手した個人情報を利用する手助けをした方法を暴露したことがある。

 ワイリー氏は、「CAのような事態が再び起きることを避けたいならば、単なるデータ保護の問題という枠を超え、大手IT企業を規制することから始めるべきだ。だがそれと同時に、われわれは人を操ることが可能な仕組みを社会として容認するのかどうかも考える必要がある」と主張する。

 ワイリー氏は著書「Mindf*ck(原題)」で、フェイスブックから流出した個人情報が、心理学的プロファイリングやターゲットテクノロジーなどを通じていかに個人を「過激化」させる武器となり得るかについて詳しく説明している。

 フランスでの著書出版に伴いAFPの取材に応じた同氏は、IT専門家らが社会や人々の暮らしに及ぼす潜在的影響力は非常に強大であり、医師や弁護士と同様に倫理規定を課すべきだとの見解を示した。

「人々は意図的に監視され、個人が持つ偏見や不安、弱点、要求、欲望などは、企業がそれを利益のために利用できるような形で数量化され得る」「巨大IT企業も他の業界と同じだということが分かってきた。いざというとき、利益に影響するとなれば、石油産業やたばこ産業と同様の決断をする」。だからこそ、早急に規制が必要だとワイリー氏は語る。

 同氏はまた「フェイスブックは基本設計であり、構造物であり、工学的産物だ。航空宇宙、自動車、エネルギー、バイオテクノロジーなど他のハイテク産業と同様、業界を規制するルールが必要だ」と述べた。(c)AFP/Frédéric POUCHOT, Fiachra GIBBONS