【3月13日 AFP】チュニジアで新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防にニンニクが効くというデマが広がり、世界保健機関(WHO)が注意を喚起しているにもかかわらずパニック買いが発生し、ニンニク価格が高騰している。

 チュニジアの中央市場やスーパーマーケットなど小売店では今週、ニンニクの価格が1キロ当たり20~25チュニジア・ディナール(約740円~920円)に上昇した。同国の平均月収は約600チュニジア・ディナール(約2万2000円)。

 首都チュニス南部で商店を営むハメス・ナブリ(Khames Nabli)さんは、「これまでは(ニンニクを)1キロ当たり8チュニジア・ディナール(約290円)で5キロ仕入れ、12チュニジア・ディナール(約440円)で販売していた。でも今は価格が高くなりすぎて仕入れることができない」と語った。

 チュニジアでは、これまでに新型コロナウイルスの感染者が6人確認され、その多くにイタリアへの渡航歴があった。国内で確認された7人目の感染者は、フランスに帰国した。

 ニンニクは、新型コロナウイルス感染症と症状が似ているインフルエンザの予防に重宝されている。

 しかし、ウェブサイトやオンラインの投稿では、ニンニクが新型コロナウイルス感染症の予防に効果があるというデマが拡散している。

 新型ウイルスについて「パンデミック(世界的な大流行)」を宣言したWHOは、ニンニクの効果を含む同ウイルスに関するデマ対策に取り組んでいる。

 WHOは公式サイトのデマへの注意を喚起するページで、「ニンニクは抗菌性があるとされる健康に良い食べ物だ。しかし、現在の流行において、ニンニクを摂取したことで新型コロナウイルスの感染を予防できたという証拠はない」としている。このページは英語の他、フランス語やアラビア語を含む複数の言語で読むことができる。

 しかし、こうした呼び掛けも、ニンニクを買い求めるチュニジアの人々には届いていない。(c)AFP