【3月12日 AFP】世界最小の鳥よりも小さく、ティラノサウルス・レックス(T・レックス、Tyrannosaurus rex)よりも前に生息していた鳥のような恐竜の頭部の化石が、ほぼ完全な状態で見つかった。研究論文によると、琥珀(こはく)の中に閉じ込められた約1億年前の化石は、これまでに発見された中で最小サイズの恐竜のものである可能性があるという。

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 この飛ぶことができたと考えられる恐竜(学名:Oculudentavis khaungraae)の化石は、ミャンマーで採集された小さな琥珀の塊の中から発見されたもので、その個体の特徴が驚くほどはっきりと示されている。

 11日の英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載された論文の主執筆者で、中国科学院(Chinese Academy of Sciences)の古生物学者のジンマイ・オコナー(Jingmai O'Connor)氏は、「最初にこれを見た時は心底驚いた」と話す。

 AFPの取材にオコナー氏は、「保存状態が極めて良好で、実に奇妙な外見をしている。独特な強膜輪(きょうまくりん、眼球を保護する骨)と多数の歯を持っている」と説明した。

 琥珀の中に保存された頭蓋骨は長さが7.1ミリしかないため、これまでに見つかっている中で最小の恐竜である可能性があり、現在生息している世界最小の鳥、マメハチドリよりも小さかったと考えられるという。

 また、その小さな体に似つかわしくない大きな目で獲物を狙い、鋭い歯を使って昆虫を捕獲していたことも想像できると指摘している。

 岩の中に閉じ込められた化石とは異なり、琥珀の中の化石は軟組織を保持しているため、本来の体色と身体形態を知ることができる。

 今回発見された化石が鳥なのか恐竜なのかについては、境界線が不明瞭だと、オコナー氏は指摘している。

 同氏は、「鳥だと思われる。頭蓋骨が鳥類と一部の恐竜にしか見られない形状をしている」「しかし、鳥類であることを明確にする頭蓋骨の特徴が存在しないため、恐竜かもしくは何か他の種類の動物である可能性も考えられる」と話す。

 論文についての解説記事の中で、英オックスフォード大学(University of Oxford)地学部のロジャー・ベンソン(Roger Benson)氏は、この発見が示唆しているのは、鳥類がこれまで考えられていたよりはるかに早期に小型の体を進化させていた可能性があるということだと記している。

「鳥類は(約2億100万年から1億4500万年前まで続いた)ジュラ紀の後期に出現し、その後すぐに最小の体を獲得していたことを、今回の発見は示している」 (c)AFP/Patrick GALEY