【3月12日 AFP】(更新、写真追加)ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は11日、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、英国を除く欧州からの入国を30日間全面禁止すると発表した。

 トランプ氏は国民に向けた演説の中で、「新たな新型ウイルス感染者の入国を防ぐため、欧州から米国への渡航を30日間全面的に中止する」と述べた。この新規則は13日午後11時59分(日本時間14日午後0時59分)に発効するが、今年1月31日(日本時間2月1日)に欧州連合(EU)を離脱した英国には適用されないという。

 さらにトランプ氏は、欧州で感染が拡大している原因について、発生国である中国からの入国を欧州諸国が禁止しなかったせいだとの見解も示した。

 演説でトランプ氏が欧州からの「膨大な量の貿易と貨物」も禁止すると述べたことで一時緊張が走ったが、米当局は今回の措置の対象は人だけで、商品や貨物は対象外だと説明に追われた。

■納税延期や減税、小規模事業者支援も発表

 新型ウイルス危機の中で指導力が不足しているとの批判をかわすべく、ゴールデンアワーにホワイトハウス(White House)の大統領執務室(Oval Office)から演説した同氏は、「ウイルスに勝ち目はない」 「外来のウイルスへの対策としては近代史上、最も積極的かつ包括的な対応だ」と強調した。

 また、高齢者に不要不急の国内旅行を避けるよう呼び掛け。73歳のトランプ氏自身も、12日に予定されていたネバダ州とコロラド州への訪問を取りやめた。

 この演説の後、米国務省は全米国市民に対し、海外渡航の再考を勧告した。

 トランプ氏は、検疫で数週間仕事ができなくなる人の経済的負担の軽減策として、納税申告期限の延期を発表。連邦議会に「速やかな給与税の免除」の立法化と、小規模事業者の資金繰り支援へ500億ドル(約5兆2000億円)の予算措置を要求した。ただし、議会の予算承認を迂回(うかい)できる国家非常事態の宣言には踏み込まなかった。

 米ジョンズ・ホプキンス大学(Johns Hopkins University)の集計によると、米国ではこれまでに感染者約1300人、死者36人が確認されている。(c)AFP