【3月12日 AFP】政治家や芸能人に正体を偽って電話をするいたずらを繰り返していたロシアの2人組が11日、今月末に英王室を離脱するヘンリー王子(Prince Harry)に電話をかけ、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリ(Greta Thunberg)さんからの電話だと信じ込ませたと明らかにした。これに先立ち、英紙サン(Sun)が1面でいたずら電話の詳細を伝えていた。

 いたずら電話をかけたのは「ボバンとレクサス(Vovan and Lexus)」として知られる「ボバン」ことウラジーミル・クズネツォフ(Vladimir Kuznetsov)さんと、「レクサス」ことアレクセイ・ストリャロフ(Alexei Stolyarov)さん。

 2人は以前にもトルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領や英歌手エルトン・ジョン(Elton John)さん、そして2018年にはボリス・ジョンソン(Boris Johnson)英外相(現首相)にもいたずら電話をかけたことがある。

 2人は昨年12月と今年1月にヘンリー王子に電話をかけ、トゥンベリさんとその父親のスバンテ(Svante Thunberg)さんからだと思い込ませた。

 サン紙によると、ヘンリー王子はトゥンベリさんへの支持を表明し、気候変動に対するドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の姿勢を批判し、次のように語ったという。

「残念ながら、世界は幾人かの非常に病んだ人たちに率いられている。だから、変化をもたらすのはあなたのような人や若い世代の人たちだ」 「ドナルド・トランプが石炭産業を後押ししているというまさにその事実は、米国において非常に大きい。彼の手は血塗られている」

 ヘンリー王子は、妻のメーガン妃(Meghan, Duchess of Sussex)、長男のアーチー(Archie)ちゃんと共に北米に移ったことについて、メディアの注目から「息子を守るために正しい決断だった」と述べ、「難しい決断だったが、私たちは新しい生活を始める」と付け加えた。

 また、「誰も私たちから称号を奪ってはいない」 「明らかに称号を利用してお金を稼がないよう求められただけで、そんなことをするつもりは毛頭ない」として、英メディアが王子一家の将来の王族としての地位に関する問題を誇張しすぎていると述べた。

 今回のいたずら電話で一般人としての生活は王室の生活よりひどいか、と尋ねられたヘンリー王子は「いや、(一般人としての生活の方が)ずいぶん良い」と返答し、「あなたは忘れているようだが、私は10年間軍にいたのだから、私の家族がそう信じたがっているよりも一般的だ」と続けて、英王室内部に緊張状態があることをほのめかした。

 AFPはヘンリー王子夫妻の公邸、ケンジントン宮殿(Kensington Palace)にコメントを求めたが返答はなかった。(c)AFP