【3月11日 AFP】米国の新型コロナウイルスの感染者数が10日、AFPの集計で前日の約550人から910人に急増した。公衆衛生の専門家らは、当局が流行の規模を小さく見せようとして検査の実施が後れを取ったと批判している。

 AFPが州ごとの集計をまとめたところ、米全土では10日までに910人前後が感染し、少なくとも28人が死亡している。感染者数が急増したのは、診断の大半が連邦政府の研究所から各州の研究所へ移行したことで検査の規模が拡大されたことに関連している。

 疫学者らは、検査キットの欠陥と当初の検査範囲が狭すぎたことが相まって、米当局の検出能力を超えて感染が広がってしまったと批判している。

 米ジョンズ・ホプキンス大学(Johns Hopkins University)とスタンフォード大学(Stanford University)の研究者らは9日、こうした不手際は新型コロナウイルスが全米に根を下ろす一因となったと米国医師会雑誌(JAMA)で指摘した。

 マイク・ペンス(Mike Pence)副大統領はホワイトハウス(White House)での会見で、「100万件の検査が実施されている」と述べ連邦政府の対応を擁護し、民間企業との協力でさらに検査が行われることになると語った。

 米疾病対策センター(CDC)の最新集計によると、9日までの検査件数は8554件。これに対し、米ニュースサイト「ビジネス・インサイダー(Business Insider)」によると、初の感染者を米国と同日に発表した韓国では、18万9000件以上に上っている。

 JAMAに掲載された報告の執筆陣は、米国で当初承認されていたのはCDCが開発した検査キットのみだったと指摘。これは世界保健機関(WHO)が承認し世界各地で用いられているものと同じ検査技術に基づいているが、CDCの検査キットには決定的な結果が得られないという欠陥があった。
 
 米食品医薬品局(FDA)は、各州の研究所がWHO検査に基づき独自の検査キットを開発することを禁止していた。これを解除したのは、米国で初の死者が報告された2月29日で、米国内で初の感染確認からすでに1か月超がたっていた。(c)AFP/Issam AHME