【3月11日 AFP】新型コロナウイルスの影響が続いている中国で、国内の各クラブと代表チームが、ウイルスに打ち勝ち、中国サッカーを強化するための「春の軍隊式訓練」を行うよう要請されていることが分かった。

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 新型ウイルスの感染拡大により、国内リーグが無期延期の状態にある中、中国サッカー協会(CFA)は練習量やメニュー、選手のあるべき体形などを定めた細かな指示を各クラブに送った。

 協会は「一方では感染の予防と抑止に努め、また一方では練習に集中して戦いの準備をすること」「この二つを強力に推し進め、両方の戦いに勝利しなければならない」「男女の代表およびプロサッカークラブには、この通知にしっかり従うよう要請した」と話している。

 CFAは近年、こうした厳しい指令をたびたび出しており、そこには習近平(Xi Jinping)国家主席が2016年に打ち出した中国のサッカー強国化の夢が関係しているが、今回は昨年末に中国で確認され、世界中に広がっている新型ウイルス克服に選手を協力させる目的もある。

 広州恒大(Guangzhou Evergrande FC)のファビオ・カンナヴァーロ(Fabio Cannavaro)監督や、大連一方(Dalian Yifang)のラファエル・ベニテス(Rafael Benitez)監督らを意識してか、CFAは「監督が直接的な責任者」と話し、従うかどうかの判断をクラブ側に委ねているが、欧州での経験が長い指導者たちには驚きをもって受け止められるとみられる。

 回答期限は10日までで、抜き打ちの査察もあるという。週に最低16時間の練習を行うこと、スクワットやベンチプレス、垂直跳びなどからなる体力テストの目標を達成すること、選手の体脂肪率は11パーセント未満に抑えることなど、指示は非常に細かい。抜き打ち査察の結果は公表され、「落第」が恥ずかしくなったクラブが奮起することを期待して、順位もつける。

 中国サッカーはスーパーリーグ(1部)が2月末に開幕する予定だったが、ウイルスの影響により無期限で延期されており、ほとんどのチームは国外で練習を続けている。また今回の指令は、男女の代表チームにも適用される。男子代表はFIFAランキング76位で、W杯(World Cup)本大会は2002年の日韓大会が唯一の出場となっている。

 中国サッカーの低迷を打破しようと、軍隊式の練習が導入されるのは今回が初めてではなく、2018年には1部クラブや代表の若手選手が基地で訓練を受け、マルクス主義の「思想教育」を施された。(c)AFP/Peter STEBBINGS