【4月11日 AFP】米ファンタジードラマ「ゲーム・オブ・スローンズ(Game of Thrones)」に登場する砂漠の中の要塞は、世界中の何百万というファンたちにおなじみだ。しかし、モロッコの村アイトベンハドゥ(Ait-Ben-Haddou)を知っているのは一部のファンだけだ。

 彼らを魅了しているアイトベンハドゥは、モロッコ南部ワルザザート(Ouarzazate)の町から約30キロ、雄大なアトラス山脈(Atlas Mountains)の麓にある要塞化された集落の遺跡だ。国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界遺産(World Heritage)でもあり、谷を見下ろせば時間が止まったかのような感覚に包まれる。

 古代ローマを舞台にしたリドリー・スコット(Ridley Scott)監督の映画『グラディエーター(Gladiator)』のロケ地にもなったが、他の映画やテレビ作品のロケ地とは異なり、これまで多くの観光客を呼び込む好機を逃してきた。

 地元のツアーガイドのアハメド・バーブーズ(Ahmed Baabouz)さん(29)によると、「『ゲーム・オブ・スローンズ』のロケ地を見に来たと言う人」もいて、「映画に関連した観光もあるが正直、われわれにはまだ受け入れ可能な用意がない」という。

「観光客を引き付けるためにあやかりたい映画の遺産がとてもたくさんある」のに、「 『ゲーム・オブ・スローンズ』のロケ地であることを示すものは何もない」のだと、バーブーズさんは嘆く。

 モロッコの大西洋岸にあるエッサウィラ(Essaouira)の街も、「ゲーム・オブ・スローンズ」の一場面を飾った。しかしここでも、ロケ地を目玉にした観光客の誘致は行われていない。

 この状況を改善するため、バーブーズさんら若者たちは限られたリソースの中で野心的なプロジェクトを進めている。要塞内に博物館を創設し、アイトベンハドゥで撮影された映画の写真を集めて展示するつもりだという。(c)AFP/Ismail BELLAOUALI