【3月10日 AFP】欧州における新型コロナウイルス感染の流行地となっているイタリア・ミラノ(Milan)の刑務所で9日、流行阻止のための新規定に抗議する受刑者らが、屋上を占拠し抗議した。

 ミラノにあるサン・ビットーレ(San Vittore)刑務所で屋上を占拠した受刑者約10人は、地上から警官や看守が見上げる中、抗議のスローガンを叫んだ。

 新型コロナウイルスによる死者が6人となっているイタリアでは、流行阻止のため家族との面会禁止などを盛り込んだ新規定をめぐり前日から、20か所を超える刑務所で暴動や抗議行動が起きている。

 南部フォッジャ(Foggia)の刑務所では受刑者約50人が脱走。司法省によると43人が再拘束された。

 また同じく南部のナポリ(Naples)とバリ(Bari)の間に位置するメルフィ(Melfi)の刑務所では、暴動を起こした受刑者らが2か所の厳戒警備区域で9日夜まで、職員4人を人質に取っていた。

 首都ローマの北東約70キロにあるリエティ(Rieti)の刑務所では、「施設全体が受刑者らに占領されている」と司法省は発表している。受刑者らの一部は、新型コロナウイルス危機を理由に恩赦を求めているという。

 人権活動家らは新規定に対する大規模な抵抗について警告していた。また、受刑者の家族らも刑務所前で抗議活動を行っていた。

 受刑者のための人権団体アンティゴーネ(Antigone)によると、北部モデナ(Modena)のサンターナ(Sant'Anna)刑務所で発生した暴動では、前後に受刑者6人が死亡した。伊ANSA通信によると、3人はモデナで、他の3人はそれぞれ別の刑務所に移動された後に死亡した。6人はモデナ刑務所内の医療センターに押し入り、薬物を過剰摂取したと報じられている。モデナ当局はこれまでのところ、報道について認めていない。

 イタリアの刑務所は、全国で定員5万1000人のところに6万1000人超が収容され過密状態となっている。(c)AFP/Miguel Medina with Ella Ide in Rome