【3月9日 People’s Daily】新型コロナウイルスの感染拡大を阻止するために、中国で最新の科学技術が力を発揮している。国産の衛星測位システム「北斗」が投入され、多方面において感染症との闘いで大きな役割を果たしている。

 武漢(Wuhan)の火神山・雷神山医院の建設で北斗が大きく貢献した。旧暦の大みそかにあたる1月24日の夜。技術者たちは北斗を持参して建設現場へ応援に駆け付けた。千尋星矩SR3端末を使い、建設現場のほとんどの測量を一度に完成した。環境が複雑な森林部や建築群などの現場でも、北斗が高精度測位と正確なマーキングを実現し、1秒でも争うよう急ピッチで行われたこの2病院の工事完成に向けて、貴重な時間を稼いだ。

 また、ウイルス感染を減らすために、できる限り人と人の直接接触を避けなければならない。感染対策重点エリアで緊急物資を運ぶ際に、北斗を搭載した100機ほどのドローンが使われた。2月12日午前、北斗搭載の初めてのドローンが武漢金銀潭病院に着陸し、至急必要な医療・防疫物資を正確に現場の医療従事者に届けた。ドローンは同日、緊急医療物資を20回近く輸送した。

 北斗高精度データ運営・メンテナンスを担当する業者、千尋位置は、オンラインで「ドローン感染対策プラットフォーム」をつくり、中国全土にサービスを提供している。1万機ほどのドローンに対応できるという。システムが指示した飛行ルートに基づき、ほとんど誤差なしでパトロールや消毒液の散布などの防疫作業を実施できるという。

 北京市と湖北省(Hubei)で、実際に北斗ドローンが利用され、消毒や防疫などに広く活用されている。1機につき1回あたりの散布面積は5000平方メートルで、防疫車両が入れない死角などにも対応できる。

 江西省(Jiangxi)瑞昌市(Ruichang)などでは、治安機関は北斗ドローンを使い、人が密集する場所の上空をパトロールしている。人と人に対し、濃厚接触を減らし、感染症の予防対策を呼び掛ける。

 また、交通運輸省は、北斗搭載の全国の道路貨物車両監督管理プラットフォームを利用して、600万台以上のトラックなどに対し、最新の感染情報などを提供し、利用ルートを推薦する。さらに、北斗に基づくスマート配送ロボットは、各地から送られてきた医療物資を速やかに病院の隔離エリアに送付し、武漢市の病院と配送ステーション間の「物資の生命線」を構築している。(c)People's Daily/AFPBB News