【3月9日 AFP】船内で新型コロナウイルス感染が確認され米カリフォルニア州沖で待機中のクルーズ船「グランド・プリンセス(Grand Princess)」では、現地時間8日午後から医師らが乗船し、乗客らの下船に向けた「迅速な」スクリーニング検査が始まる。9日に予定されているオークランド(Oakland)への入港について、専門家は「前例のない困難な作戦」になると指摘している。

 グランド・プリンセスは、乗客乗員3500人のうち21人から新型ウイルスの陽性反応が確認され、サンフランシスコ沖に4日間停泊している。

 カリフォルニア州のギャビン・ニューソム(Gavin Newsom)知事は8日の記者会見で、乗客の下船完了まで「2、3日かかる」との見方を示し、開始時刻は潮流の状況を見て決定されると説明した。

 緊急入院が必要な乗客は直ちに、オークランドに設けられた広さ約4ヘクタールの密閉施設を経由して医療センターに移送され、治療を受けることになる。

 治療の必要がない米国人乗客は、カリフォルニア州、テキサス州、ジョージア州の軍施設に移送され、14日間の隔離措置を受ける。米国以外の世界54か国からの旅行者は全員、本国に送還される。

 カリフォルニア州危機管理当局によると、オークランド港が入港地に選ばれたのは「(港の)封鎖、乗客の隔離場所への安全な移送、一般市民の安全確保」が最も容易に実行可能な場所だったからだという。オークランドのリビー・シャーフ(Libby Schaaf)市長は、近隣住民と港湾労働者への感染リスクについて「オークランドでは誰一人、隔離も解放もされない」と述べた。

 乗員は船内にとどまって検疫下に置かれ、グランド・プリンセスは乗客の下船完了後すぐにオークランドを出港する。

 乗客のキャロライン・ライト(Carolyn Wright)さん(63)によると、乗客は5日から各自の客室に隔離されていたが、8日午後から小グループでデッキへ出て新鮮な空気を吸うことが認められたという。(c)AFP