【3月12日 CNS】中国では、新型コロナウイルスの感染拡大で一部の企業は経営困難に直面し、従業員は自宅待機を命じられて失業や収入の減少などのリスクに直面している。雇用の安定化と給与の安定対策には何が必要なのか。

■解雇と減給

 一部の企業は正常な経営を行うことができず、現金収入が激減、あるいは全くなくなる一方で、費用の支出は続く。やむなく従業員のリストラ、自宅待機、減給などの措置を取る企業は少なくない。

 北京のIT関連企業に勤める劉さんは「少し前に会社から、新型ウイルスの影響で社員全員が減給と言われた。その時は解雇よりはいいと自分を慰めていた。でも、最後はやはりクビになった」という。

 中国中小企業協会が先ごろ発表した報告書によると、経営困難により、資金繰りが悪化した企業の約50%が従業員のリストラを計画している。中小企業の86.5%は経営面で大きな影響を受けており、そのうち約30%は影響が極めて深刻で赤字に陥っている。9割の企業は資金繰りは3か月続かず、半年以上維持できる企業は10%もないという。

■一連の救済策で人員削減を回避

 現在、中小企業に対する一連の救済策が出されている。融資、雇用コスト、光熱費などの面で企業を助け、資金繰り悪化による人員削減や減給措置を回避することが目的だ。

 まず、低利子融資。中国人民銀行(People's Bank of China、中央銀行)は3000億元(約4兆5700億円)の使途限定の融資を実行。さらに再融資再割引専用枠5000億元(約7兆6100億円)を追加した。同時に、金融機構がさらに3000億元の低利子融資を追加するよう促し、専ら個人経営企業を支援するとしている。

 そして、大規模の費用軽減措置を行っている。政府は企業の養老保険(年金保険)、失業保険と公傷保険の社会保険料の減免を決定。規模は5000億元を超える。これは中国の社会保障の歴史で初めてのことだ。

 給与の安定策については、人力資源社会保障部によると、給与支払い周期内に生産・経営が停止となった企業は、雇用契約に定める基準に基づき給与を支払わねばならない。周期を超えて停止した企業で従業員が正常な労働を提供した場合、企業が従業員に支払う給与は現地政府が定める最低給与基準を下回ってはならず、従業員が正常な労働を提供しなかった場合でも、企業は生活費を支給しなければならないとしている。

■失業しても保障

 人力資源社会保障部の失業保険司の桂楨(Gui Zhen)司長は2月19日、湖北省(Hubei)などの感染が深刻な地域においては、失業保険金が給付される条件を満たす失業者には支払うことを許可した。その他の社会保険費用を負担していた失業者に対する失業補助金の支払いについては、各地方政府で決定することとし、社保費用を負担していた失業者の新型ウイルス対策期間における基本的な生活を保障するとしている。(c)CNS/JCM/AFPBB News