【3月8日 AFP】レバノンは7日、9日に償還期限を迎える12億ドル(約1260億円)の外貨建て国債について、支払いを延期すると発表した。深刻な財政危機によって外貨準備高が急減したことが原因。

 レバノンがデフォルト(債務不履行)に陥るのは初めて。レバノンは深刻な流動性危機と、反体制デモの長期化によって打撃を受けている。

 ハッサン・ディアブ(Hassan Diab)首相は生中継されたテレビ演説で、外貨準備高が「憂慮すべき危険水準」まで低下したため、9日に償還期限を迎える外貨建て国債の支払いを延期すると発表。その上で「債権者との交渉を通じて債務再編を目指す」と説明した。

 ディアブ政権は今年1月、政界の全面的な刷新を求めて昨年10月に始まった前例のないデモが続く中、財政危機に対処するために発足した。ディアブ氏は演説で、「レバノン国民が銀行預金の引き出しを制限される中で、どうすれば債権者に返済できるというのか」と問いかけた。

 レバノンの債務はかねて世界最大級で、現在は国内総生産(GDP)の170%近くに膨らんでいる。これまでにも何度か財政危機に見舞われたが、デフォルトに陥ったことはない。ここ数か月は、1975~90年の内戦以降で最も深刻な経済の混乱への対応に取り組んでいた。

 外貨準備高の減少が続く中で、レバノン・ポンドの価値は急落し、各銀行はドル建て預金の引き出しや送金を厳しく制限している。(c)AFP/Bachir El-Khoury