【3月6日 AFP】ブラジル政府は、ベネズエラに駐在するすべての外交官および外交当局職員に帰国命令を下し、ベネズエラに対してはブラジルから外交団を引き揚げさせるよう命じた。ブラジル政府関係者が5日、AFPに明らかにした。これにより両国関係の緊張はいっそう高まるものとみられる。

 ブラジルの極右政治家ジャイル・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)大統領は、急進左派のニコラス・マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領率いるベネズエラ政府を「独裁政権」と評してきた。一方、マドゥロ氏はボルソナロ氏を「ファシスト」と呼んできた。

 ブラジル政府は5日付の官報で、駐ベネズエラ大使館と領事館の外交官4人と職員10人に対し帰国するよう命じたことを発表。関係者は「ベネズエラには誰も残らないだろう」と述べた。

 ベネズエラの首都カラカスにはブラジル大使館と領事館、シウダーグアヤナ(Ciudad Guayana)には領事館があり、ブラジル国境に近い東部のサンタエレナデウアイレン(Santa Elena de Uairen)にも副領事館がある。

 ブラジルは、ベネズエラの野党指導者フアン・グアイド(Juan Guaido)氏を同国の暫定大統領として認めている50か国以上のうちの一つ。ベネズエラでは、2018年に行われた大統領選でのマドゥロ氏再選は、不正操作によるものだと非難されている。野党が支配する国民議会はマドゥロ氏を強奪者と呼び、議長のグアイド氏が昨年、暫定大統領への就任を宣言した。

 ブラジル政府はグアイド氏が任命したマリア・テレサ・ベランドリア(Maria Teresa Belandria)氏をベネズエラ大使として認定している。(c)AFP