【3月9日 AFP】アフリカでの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は数十件にとどまっている。サハラ以南の公共システムは脆弱(ぜいじゃく)だが、エボラ出血熱での経験を基に各国は対策に取り組んでいる。

 2014年に西アフリカで流行したエボラは、主にギニア、リベリア、シエラレオネで1万1000人以上が死亡し、ナイジェリアやマリにも拡大した。

 当時、世界保健機関(WHO)の対応が遅れたためエボラの流行が史上最悪となったとの批判もあった。

 関係者によるとWHOは現在、国連(UN)や他の機関と協力し、「情報共有」「各国支援」「リソースの共有」を目的とした新型コロナウイルスに関する地域会議を、セネガルの首都ダカールとケニアの首都ナイロビの2か所で同時に開催している。

 WHOのアフリカ地域における緊急プログラム責任者ミシェル・ヤオ(Michel Yao)氏は、エボラの流行によりアフリカ諸国は新型コロナウイルス感染症対策の基盤ができていると指摘する。具体的には、感染が疑われる人を国境で検知する体制や空港での隔離、治療計画などにおいて経験を生かせるという。

 フランス・パリを拠点とするパスツール研究所(Pasteur Institute)のピエールマリー・ジラール(Pierre-Marie Girard)氏によると、各国の保健当局はWHOの国際保健規則(IHR)によって、流行と感染症例の早期報告が義務付けられている。

 アフリカ諸国の公共医療制度は脆弱だが、エボラ以外にもマラリア、コレラ、はしかなど複数の疾病に直面している。さらに一部の地域では紛争、過密都市における不十分な衛生状態、不安定な統治制度、抜け穴だらけの国境管理などの問題もある。これらはすべてウイルスの感染拡大要因となる可能性がある。

 世界銀行(World Bank)によると、サハラ以南のアフリカでは住民1人当たりの保健医療費は78ドル(約8200円)と、世界平均の1026ドル(約11万円)を大幅に下回っている。保健医療費は北米が最も高く9351ドル(約98万円)、欧州連合(EU)は3846ドル(約40万円)となっている。