【3月8日 Xinhua News】中国科学院院士(アカデミー会員)で中国科学技術大学(University of Science and Technology of China)教授の潘建偉(Pan Jianwei)氏のチームはこのほど、清華大学(Tsinghua University)や山東済南量子技術研究院などの機関と協力し、500キロメートル級のリアルな環境での光ファイバーを用いたツインフィールド量子鍵配送(TF-QKD)と位相整合量子鍵配送(PM-QKD)を実現させ、伝送距離が509キロメートルに達し、これまでの記録を塗り替えた。研究成果は国際的学術誌「フィジカルレビューレターズ(Physical Review Letters)」と「ネイチャー フォトニクス(Nature Photonics)」に掲載された。

 量子鍵配送は安全性の高い量子暗号通信を実現する基礎となるもので、重要な理論的意義と現実的意義を持つ。しかし、通信用光ファイバーの伝送損失、検出器のノイズなどの原因に制約され、量子鍵配送システムは通常、100キロメートル以内の範囲でしか比較的高いビットレートを得ることができない。

 最近、潘建偉氏ら科学者は合同チームを結成し、伝送プロトコル、伝送技術、検出器開発などの分野で一連のブレークスルーを得た。同チームは中国科学院上海マイクロシステム・情報技術研究所が開発した高計数率・低ノイズの単一光子検出器を利用し、最終的に実験室内で量子鍵配送の安全なビット距離を500キロメートル以上に延ばすことに成功した。

 研究チームは次のように述べている。もし実験システムの繰り返し周波数を「京滬幹線」(北京~上海間に開設されたハッキング不可能とされる量子暗号通信幹線)などの長距離量子通信ネットワークで採用されている1GHzまで高めることができるなら、300キロメートル地点でのビットレートは5kbpsに達することが可能。基幹光ファイバー量子通信ネットワークでの中継の数が大幅に減少するとともに、光ファイバー量子暗号通信ネットワークの安全性が著しく高まることが期待できる。(c)Xinhua News/AFPBB News