【3月5日 AFP】スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリ(Greta Thunberg)さん(17)は、欧州委員会(European Commission)が4日公表した歴史的な「欧州気候法案」について、気候変動の脅威に「降参している」と批判した。

 欧州気候法案は、欧州連合(EU)の加盟国に、2050年までに二酸化炭素排出量を実質的にゼロにする「カーボンニュートラル」の達成を義務付ける内容。

 EUはこの法案が欧州で持続可能な社会を実現し、地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」の目標を達成する経済改革の引き金になることを望んでいる。

 しかし欧州議会(European Parliament)の公聴会で演説したトゥンベリさんは、EUは環境政策でリーダーシップを取っているふりをしていると非難し、欧州委員会のウルズラ・フォンデアライエン(Ursula von der Leyen)委員長の熱意に水を差した。

 トゥンベリさんは、EUは今も化石燃料を使用する新たなインフラ設備の建設や、それらに対する助成金の支出を続けていながら環境リーダーになれるというふりをするのはやめるべきだと主張した。

 地球温暖化対策を求める運動「フライデーズ・フォー・フューチャー(Fridays For Future、未来のための金曜日)」のデモを前にベルギーのブリュッセルを訪れたトゥンベリさんは、フォンデアライエン氏のゲストとして欧州気候法案を承認したEU議会に招待された。

 議会でトゥンベリさんは今すぐ温室効果ガスを大幅に削減するべきだと主張。「自分の家が燃えていたら火を消すのにあと数年も待たないでしょう」「EUがこの気候法案を示して2050年までに排出量を実質ゼロにすると言う時点で、降参したことを間接的に認めている」と非難した。

 トゥンベリさんは演説後AFPに対し、「人々が耳を傾けるのは良いことだ」として欧州気候法案の公表は悪いことばかりではないと述べた。しかし「良くないのは、彼らが私のような子どもを招いて演説させることだ。彼らは私にこんなことを言わせる必要はないと思う」と話した。

 映像は4日撮影。(c)AFP/Alex PIGMAN