■どうしてマスクが買えないのか

 1億枚という数字は大きく感じるが、実際は、中国の需要数と比べると、まだ足りない。

 国有の証券会社である華創証券(Huachuang Securities)の分析によると、中国の第二次産業と第三次産業の就業者数は5億3000万人で、全面的に業務を再開した場合、毎日少なくとも5億3000万枚のマスクが必要だ。仮に二次産業と医療、交通だけに限り業務再開した場合でも、一日に必要なマスクは2億3800万枚となる。

 中国は世界最大のマスク生産国であり輸出国でもあるが、感染対策の中で、マスクの需給関係はまだ供給不足の状態にある。また、マスクの生産は原材料の不織布の制限もある。

 不織布の主な原材料であるポリプロピレンは不足しておらず、価格は下がっている。石油化工業の国有会社「中国石化(Sinopec、シノペック)」は2日、2月のポリプロピレンなど医療衛生用材料の生産量は前月比3万3000トン増(50.8%増)の9万8000トンに達し、市場供給量は十分に足りていると発表した。

 総じて、マスクの増産のためには、不織布の生産能力の引き上げが極めて重要であることが分かる。ただし、メルトブロー不織布の製造設備は価格が高く、国産でも500万元(約7600万円)、輸入設備だと1000万元(約1億5200万円)かかり、しかも納期が長いので、多くの企業は不織布の生産ではなくマスクの生産を選ぶという。(c)CNS/JCM/AFPBB News