■おじけづく医師ら

 バークハート氏は「多分この地域の医師の誰かが一歩踏み出して、やってくれると思って待った」と話す。だが、誰もいなかったため「使命感」を覚えたという。「トラスト・ウィメン・ファンデーション(Trust Women Foundation)」を設立し、診療所を買い戻し、カンザス州に隣接するオクラホマ州に2軒目を開院した。

 バークハート氏はこの10年、殺害予告を受けたり、診療所に押し入られたり、自宅前で抗議活動をされたりした。ある時には、10代の娘を学校に送るためだけにボディーガードを雇わなければならないこともあった。

 これらすべてが、地元の医師をおじけづかせた。バークハート氏は今、先進的医師が多い東海岸や西海岸から呼び寄せている。

 バークハート氏によると、地元の医師らは身の安全という問題以上に、他の医師に追放されたり、免許を失ったり、解雇されたりすることを恐れているという。また、資金という別の障害もある。銀行は、ティラー氏が診療所を再開するための資金を貸し出すことを拒否したのだ。バークハート氏は「寄付を募らなければならなかった」と語った。

 さらに社会的圧力も多い。「孤立しているように感じる。誰も、私のような中絶をしている人間とはかかわりあいたくないのだ」とバークハート氏は述べた。(c)AFP/Charlotte PLANTIVE